一人暮らしを始めるには、毎月いくらぐらい生活費が必要なのかを把握しておくことが重要です。 資金計画を立てずに自由にお金を使いすぎてしまうと、毎月の家計管理に悪影響をおよぼす可能性があるでしょう。
おおよその生活費を知ることで、自分が無理なく支払える適正家賃もわかります。
そこでこの記事では、一人暮らしの生活費はいくら必要になるか、平均額や内訳を解説します。 生活費を安く抑えるポイントも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
一人暮らしの生活費平均額とは?
総務省では、国民生活における家計収支の実態を把握するために、毎月家計調査を実施しています。 2023年の家計調査によると、一人暮らし(単身世帯)の生活費は1か月あたり平均167,620円という結果でした。
昨今の相次ぐ物価高騰により、今後は生活費も上昇していくことが予想されます。
※出典:総務省|家計調査 1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号1
【年収別】一人暮らしの生活費平均額
次に、同じく総務省の家計調査(2023年)による一人暮らしの生活費平均額を、年収別に分けると以下のようになります。
年収 | 生活費の平均額(1か月あたり) |
100万円未満 | 109,173円 |
100〜200万円 | 123,110円 |
200〜300万円 | 159,701円 |
300〜400万円 | 177,347円 |
400〜500万円 | 199,251円 |
500〜600万円 | 201,009円 |
600万円以上 | 262,090円 |
※出典:総務省|家計調査 1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号5
年収が増えるにつれて、生活費の平均額も高くなっているのがわかります。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)によると、令和元年に大学を卒業した新社会人の初任給の平均は月収約21万円でした。 ボーナスを月収の2か月分と仮定すると、平均的な年収は300万円前後と推測できます。
つまり、新社会人で一人暮らしを始める人の生活費は、16万円前後を目安に考えると良いでしょう。
一人暮らしの生活費の内訳
総務省の家計調査(2023年)における一人暮らしの生活費の内訳をまとめると、以下のようになります。
生活費の内訳 | 平均額(1か月あたり) |
家賃 | 23,799円 |
食費 | 42,049円 |
水道光熱費 | 13,045円 |
生活用品費 | 5,760円 |
被服費 | 4,447円 |
保健医療費 | 7,367円 |
交通費 | 4,512円 |
通信費 | 6,610円 |
娯楽交際費 | 32,525円 |
その他 | 27,506円 |
合計 | 167,620円 |
※参照:総務省|家計調査 1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号1
食費や家賃、娯楽交際費が生活費のなかで大きな割合を占めているのがわかります。
なお、家賃の平均額は持ち家や家賃の安い社宅に住んでいる人も含んでいるため、一般的な家賃相場ではありません。
【手取り額別】一人暮らしの生活費シミュレーション
年収が増えると生活費も増えることは前述しましたが、実際に内訳はどのように変わるのでしょうか。
ここでは、具体的にイメージできるように、総務省の家計調査報告を基に、手取り額別の生活費の内訳をシミュレーションしてみました。
手取り15万円 | 手取り20万円 | 手取り25万円 | |
家賃 | 54,000円 | 60,000円 | 78,000円 |
食費 | 26,000円 | 31,000円 | 35,000円 |
水道光熱費 | 10,000円 | 12,000円 | 13,000円 |
生活用品費 | 3,000円 | 6,000円 | 8,000円 |
被服費 | 5,000円 | 8,000円 | 10,000円 |
保健医療費 | 5,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
交通費 | 5,000円 | 8,000円 | 9,000円 |
通信費 | 8,000円 | 10,000円 | 11,000円 |
娯楽交際費 | 14,000円 | 19,000円 | 25,000円 |
貯金 | 15,000円 | 28,000円 | 40,000円 |
その他 | 5,000円 | 12,000円 | 15,000円 |
合計 | 150,000円 | 200,000円 | 250,000円 |
生活費の支出は人によって異なるため、あくまで目安として参考にしましょう。貯金は手取り額の10%以上を目安にするのがおすすめです。
それぞれの費用を安く抑える方法は、次章で解説していきます。
一人暮らしの生活費を安く抑えるポイント
ここでは、一人暮らしの生活費を抑えるポイントを、以下の内訳別に解説します。
- 家賃
- 食費
- 水道光熱費
- 保健医療費
- 交通費
- 通信費
- 娯楽交際費
それぞれ詳しく見ていきましょう。
家賃
家賃は生活費のなかで大部分を占める費用になるため、毎月無理なく支払える物件を借りましょう。
家賃は立地や間取り、築年数などさまざまな要因で変動します。 希望よりも少し離れた物件や、築年数が経過しているマンションを選ぶことで、家賃を安く抑えられるでしょう。
なお、家賃を決める際は、手取り額の2〜3割以下に抑えるのがおすすめです。 たとえば、手取り額が20万円(月収約25万円)の場合、家賃は4〜6万円以下を目安にするのが良いでしょう。
食費
食費を抑える効果的な方法は、外食の頻度を減らして自炊することです。
休日にまとめて作り置きをしたり、お米を冷凍したりすることで食費を抑えられます。 また、外食は栄養バランスが偏りやすいため、自炊を心がけることで健康の維持にもつながります。
水道光熱費
水道光熱費は、電気・水道・ガスなどの利用にかかる費用です。 日々の無駄遣いを減らすことで、節約につながります。
こまめに水道を止めたり、節水シャワーヘッドに変えたりすれば、節約効果が期待できます。 冷蔵庫の開閉時間を短くしたり、使っていないコンセントを抜いたりすれば、節電になるでしょう。
また、電力会社やガス会社の料金プランを見直し、基本料金が安い会社に変更できれば費用を抑えられます。
保健医療費
保健医療費は、加入している保険料の支払いや、医療を受けた際に支払う費用です。 保険料は保険の加入状況を定期的に見直すことで、節約につながる場合があります。
医療費を抑えるには、健康を維持することが最も重要です。睡眠や運動の時間を確保し、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
交通費
交通費を抑えるには、なるべくタクシーを使わずに、自転車や公共交通機関を利用することが効果的です。一駅程度の距離であれば、歩くことで運動にもなるでしょう。
通信費
通信費とは、スマホの利用料やインターネット回線のプロバイダ費用などをいいます。
スマホを格安SIMに変更したり、プロバイダの料金プランを見直したりすることで、費用を抑えられる可能性があります。
娯楽交際費
娯楽交際費とは、レジャーや趣味で使う費用や、人との付き合いで発生する費用をいいます。 リフレッシュするには必要な費用ですが、つい使いすぎてしまうため注意しましょう。
毎月の上限額を決めたり、使いすぎた場合は翌月を抑えたりするといった対策をすることで、浪費を防げます。
まとめ
2023年の家計調査によると、一人暮らし(単身世帯)の生活費は1か月あたり平均167,620円でした。
収入が増えると生活費も増える傾向にあり、家賃や食費、娯楽交際費が生活費において大きな割合を占めていました。
家賃は手取り額の2〜3割以下に抑えることで、無理なく支払いやすくなります。食費は外食の頻度を減らし、自炊することで節約につながります。
一人暮らしの生活費の目安を把握し、自分に合う生活水準で家計を管理していきましょう。
iimon太郎
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。