個人事業主が賃貸物件を借りる際、審査に不安を感じる人は多いのではないでしょうか?
個人事業主は会社員よりも収入が不安定になりやすいため、審査も厳しくなる傾向があります。
しかし、個人事業主であっても、オーナーの不安要素を払拭できれば、賃貸物件を借りられるでしょう。
この記事では、個人事業主が賃貸物件を借りる際の契約の種類や、審査が厳しい理由について詳しく解説します。
賃貸物件の審査に通らなかった場合の対処法も紹介しているので、個人事業主の人はぜひ最後までご覧ください。
目次
個人事業主が締結する賃貸借契約の種類
個人事業主が締結する賃貸借契約には、主に以下の2種類があります。
- 個人契約(居住用の場合)
- 個人事業契約(事業用の場合)
それぞれの契約について詳しく見ていきましょう。
個人契約(居住用の場合)
個人契約は、個人事業主が賃貸物件を住居として借りる際に結ぶ契約です。
事業や営業などの目的ではなく、居住用として個人名義で契約するため、一般的な賃貸借契約と同じ扱いになります。
個人契約の審査で必要な書類
個人契約の審査では、主に以下のような書類が必要になります。
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 住民票
- 印鑑証明書
- 収入証明書(確定申告書の写しや納税証明書)
個人契約では、連帯保証人を立てることで審査に通りやすくなります。
個人事業主は収入が不安定な印象を抱かれやすいため、収入証明書を提出し、家賃の支払い能力に問題がないことを伝えましょう。
個人事業契約(事業用の場合)
個人事業契約は、個人事業主が賃貸物件を事務所として借りる際に結ぶ契約です。
事業用として賃貸物件を借りるため、オフィスとして使用したり店舗として営業したりすることが可能です。
個人事業契約の審査で必要な書類
個人事業契約の審査では、主に以下のような書類が必要になります。
- 事業計画書
- 収入証明書(確定申告書の写しや納税証明書)
- 身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 印鑑証明書
個人事業契約の審査を受ける際は、事業計画や取引状況など、事業の信頼性を示す書類を準備しておくことが、審査を通過するポイントです。
なお、必要書類は賃貸物件によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
個人事業主が賃貸物件を借りるのが難しい理由
個人事業主が賃貸物件を借りるのが難しい主な理由は以下のとおりです。
- 審査に通りにくい
- トラブルを懸念される
- オーナーの税金負担が増える(事業用の場合)
それぞれ詳しく解説します。
審査に通りにくい
個人事業主は収入が不安定だと見なされやすいため、審査が厳しくなる傾向があります。
特に事業開始から間もなかったり、年収の変動が激しかったりする場合は、より審査に通りにくくなるでしょう。
一般的に、家賃は月収の3割以下に抑えることが望ましいとされています。
家賃を月収の3割以下に抑える場合、月収別の家賃の目安は以下のとおりです。
月収 | 家賃の目安 |
15万円 | 4.5万円以下 |
20万円 | 6万円以下 |
25万円 | 7.5万円以下 |
30万円 | 9万円以下 |
35万円 | 10.5万円以下 |
40万円 | 12万円以下 |
また、貯金額や連帯保証人の有無なども、審査するうえで重要な判断材料となります。
自分の収入と家賃とのバランスが、目安から大きくかけ離れていないかを確認し、無理なく支払える家賃の賃貸物件を選びましょう。
トラブルを懸念される
個人事業主の場合、事業の失敗による家賃の滞納や、事業活動にともなう騒音・振動などのトラブルを懸念されることがあります。
たとえば、YouTuberや音楽活動などをしている個人事業主の場合は、近隣からクレームが入るリスクが高くなることで、審査に通らないケースがあります。
他にも、不特定多数の人が出入りするような店舗や業種の場合、セキュリティの観点から審査に通らない可能性があるでしょう。
オーナーの税金負担が増える(事業用の場合)
居住用の個人契約の場合は非課税取引ですが、事業用の個人事業契約の場合は課税取引です。
課税取引では、オーナーの家賃収入が消費税の課税対象になります。
事業用として賃貸物件を貸すと、税金の負担が増えるため、オーナーによっては審査を通さない可能性があります。
個人事業主が賃貸で事業所を借りられなかった際の対処法
個人事業主が賃貸で事業所を借りられなかった際は、以下の対処法を検討しましょう。
- レンタルオフィスを契約する
- シェアオフィスやコワーキングスペースを利用する
- バーチャルオフィスを利用する
それぞれ詳しく解説します。
なお、個人事業主が居住用の賃貸物件の入居審査に通る方法について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【賃貸】入居審査における年収の目安!低年収でも入居審査に通る方法も解説
レンタルオフィスを契約する
レンタルオフィスは、デスクやインターネット環境などが整備された事務所スペースを月単位で借りられるサービスです。
事業用の賃貸物件を借りるよりも初期費用が抑えられ、契約期間も柔軟に設定できます。
レンタルオフィスの住所で開業届や法人登記できるケースも多いため、事業所を借りられなかった際は検討しましょう。
シェアオフィスやコワーキングスペースを利用する
シェアオフィスやコワーキングスペースは、他の事業者とスペースを共有しながら仕事できるオフィスです。
共有スペースにオフィスとしての設備が整っており、必要な時間だけ利用できる点が特徴です。
月額会員制や時間課金制など、ニーズに合わせてさまざまな料金プランがあるため、事業規模や利用頻度に応じて柔軟に選択できます。
また、他の事業者との交流や、新たなビジネスチャンスの創出も期待できます。
レンタルオフィスよりもコストはかからないため、固定費を抑えたい人やデスクワークの人は、コワーキングスペースを利用するのもおすすめです。
バーチャルオフィスを利用する
バーチャルオフィスは、物理的なオフィススペースを持たずに、住所や電話番号などの事業インフラを利用できるサービスです。
登記や郵便物の受け取り、電話対応などのサービスを必要に応じて選択できます。
在宅で仕事をする個人事業主や、実店舗を持たないオンラインビジネスを展開する事業者にとっては、コストを抑えつつも事業拠点を持てる有効な選択肢となります。
まとめ
個人事業主が賃貸物件を借りる際は、用途によって以下の契約形態があります。
- 個人契約(居住用の場合)
- 個人事業契約(事業用の場合)
個人事業主が賃貸物件を借りるのが難しいといわれるのは、家賃の支払い能力を不安視されることが大きな理由です。
他にも、契約中のトラブルが懸念されたり、事業用ではオーナーの税金負担が増加したりすることが理由として挙げられます。
個人事業主は会社員よりも収入が不安定になりやすいため、無理なく支払える家賃の賃貸物件を選ぶことがポイントです。
事業用の賃貸物件を借りられなかった場合の対処法としては、レンタルオフィスやコワーキングスペースを利用するなどがあります。
個人事業主でも、賃貸物件を借りることは十分可能です。
賃貸物件の審査をクリアして、個人事業主としての活躍の幅を広げましょう。
iimon 編集部