入居者が賃貸物件を退去する際は、退去費用が必要です。
退去費用は、高額になると10万円以上かかる場合もあり、一括での支払いが困難な人もいるでしょう。
賃貸物件の退去費用は基本的に分割できませんが、工夫すれば分割払いできる方法があります。
この記事では、賃貸物件の退去費用を分割払いしたい場合の方法や、退去費用の目安について詳しく解説します。
退去費用を抑える方法も紹介しているので、引っ越しを考えている人はぜひ参考にしてください。
目次
賃貸物件の退去費用は基本的に分割できない
退去費用は、基本的に分割払いできません。
退去後は、入居者とオーナーの契約関係が終了するため、分割払いによる継続的な支払いの管理が難しいことが理由として挙げられます。
退去費用は返金される敷金から差し引かれ、不足分は現金支払いや口座振込による一括での支払いが一般的です。
退去費用を分割できない場合の解決策
退去費用は基本的に分割払いできないため、一括での支払いが困難な人は以下の方法を検討しましょう。
- クレジットカードの分割払いを利用する
- 家族に借りて毎月返済する
- カードローンを利用する
- 消費者金融を利用する
それぞれ詳しく解説します。
クレジットカードの分割払いを利用する
退去費用の支払いでクレジットカードが使える場合は、クレジットカードの分割払いやリボ払いを利用する方法があります。
自分の経済状況に合わせて、支払い回数や毎月の支払い金額を調整することが可能です。
ただし、分割払いやリボ払いは手数料が発生するため、支払い総額は一括払いよりも多くなります。
クレジットカードの利用限度額や分割払いの上限に達しないようにも注意しましょう。
退去費用をクレジットカード払いできる不動産会社
退去費用をクレジットカード払いできる主な大手不動産会社は以下のとおりです。(※2024年11月時点)
- 大東建託グループ
- 株式会社レオパレス21
不動産会社によっては、クレジットカード払いに対応している可能性があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
家族に借りて毎月返済する
退去費用を一括で払えない場合は、家族からお金を借りて毎月少しずつ返済する方法があります。
家族間であればお金を借りやすく、返済の融通もききやすいでしょう。
ただし、親子間であってもトラブルにならないように、返済期限や返済方法などを明確にしておきましょう。
カードローンを利用する
カードローンとは、銀行や信販会社が提供する融資サービスのことです。
審査に通れば、利用限度額の範囲内で必要な金額を借りられます。
ただし、収入や勤続年数などの審査があり、希望の金額を借りられない場合もあります。
クレジットカードと同様に手数料も支払う必要があるため、返済能力を考慮して借入額を決めましょう。
消費者金融を利用する
消費者金融でお金を工面するのも1つの方法です。
消費者金融は、カードローンよりも審査が早くて通りやすい反面、金利が高いデメリットがあります。
なお、大手の消費者金融では、初回30日間金利0円といったキャンペーンを実施している場合があります。
消費者金融を利用する際は、計画的かつ滞納しないように注意しましょう。
賃貸物件の退去費用の目安
賃貸物件の退去費用の目安を間取り別にまとめると、以下のようになります。
間取り | 退去費用(目安) |
1R(ワンルーム)・1K | 1.5〜4万円 |
1DK・1LDK | 2〜5万円 |
2DK・2LDK | 3〜8万円 |
3DK・3LDK | 5〜10万円 |
4DK・4LDK | 9万円〜 |
なお、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、退去時に必要な原状回復について以下のように定義しています。
「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
※引用元:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
つまり、入居者は基本的に、入居者の故意・過失でついた汚れやキズの修繕費用のみを負担すれば問題ない、と国土交通省のガイドラインで示されています。
したがって、賃貸物件の経年劣化や通常の使用による損耗などは、原則としてオーナーの負担となります。
退去費用が高額になるケース
退去費用が前述の目安よりも高額になるケースとしては、以下のようなものがあります。
- 入居者の不注意で壁や床に大きな損傷がある
- ペットを飼育していた
- 喫煙による臭いや壁紙の変色がある
- 清掃不良による汚れがついている
これらの修繕にかかる費用は、入居者が負担する必要があります。
退去費用が高額にならないように、日頃からこまめに掃除しておくようにしましょう。
退去費用を抑える方法
退去費用を抑えるには、以下の方法を実践しましょう。
- 賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認する
- 入居前に既存のキズや汚れを写真で撮っておく
- 退去の立ち会い前に掃除しておく
それぞれ詳しく解説します。
賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認する
退去費用を抑えるには、賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認しましょう。
賃貸借契約書に退去費用の取り決めが記載されていれば、原則としてその内容に従う必要があります。
なお、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」では、原状回復における入居者とオーナーの負担区分を以下のように示しています。
このガイドラインに法的強制力はありませんが、オーナーが負担すべき修繕内容を把握できます。
退去費用の内訳に、ガイドラインではオーナー負担とされている内容が記載されている場合は、管理会社やオーナーに確認しましょう。
入居前に既存のキズや汚れを写真で撮っておく
中古の賃貸物件では、入居の時点ですでにキズや汚れがついている場合があります。
元々ついていたキズや汚れの修繕費用を負担する必要はないため、入居時に部屋の写真を撮っておくと良いでしょう。
写真で記録しておかないと、元々ついていたキズや汚れであったことを証明できなくなります。
可能であれば、撮影日付がわかるように写真を撮っておくことで、余計な費用を負担せずに済み、退去時のトラブル防止にもつながります。
退去の立ち会い前に掃除しておく
退去の立ち会いをする前に、自分でできる範囲の掃除をしておくと良いでしょう。
部屋が汚れている状態で退去費用の見積もりを作成されると、修繕費用が高額になる傾向があります。
そのため、水回り設備や床、壁の汚れはなるべく減らしておきましょう。
なお、日頃からこまめに掃除をしておくことで、汚れがあっても落ちやすくなり、退去時の掃除の手間を減らせるでしょう。
まとめ
賃貸物件の退去費用は、基本的に分割払いできません。
そのため、分割で払いたい場合は以下の方法を検討しましょう。
- クレジットカードの分割払いを利用する
- 家族に借りて毎月返済する
- カードローンを利用する
- 消費者金融を利用する
入居者は、基本的に入居者の故意・過失でついた汚れやキズの修繕費用を退去時に負担しなければなりません。
なお、賃貸物件の経年劣化や通常の使用による損耗などは、原則としてオーナーの負担になります。
退去費用は、2DK・2LDKの賃貸物件では3〜8万円が目安ですが、ペットを飼っていたり喫煙したりしていた場合は、高額になる可能性があります。
退去費用を抑えるには、賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認し、入居前に既存のキズや汚れを写真で撮っておくのがおすすめです。
退去費用は分割払いできないため、退去までにお金を準備しておくようにしましょう。
iimon 編集部