賃貸物件を借りる際は、不動産会社に仲介手数料を支払うのが一般的です。 仲介手数料の金額は家賃1か月分が多いですが、半額(家賃0.5か月分)で済むケースも存在します。
しかし、不動産会社が仲介手数料を半額にする理由や、選ぶ際の注意点を知らなければ、結果として損をする可能性があります。
不動産会社がどのような意図で仲介手数料を半額にしているのかを押さえておきましょう。
この記事では、賃貸物件の仲介手数料が半額になる理由について解説します。 仲介手数料が半額のからくりや、選ぶ際の注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【賃貸】仲介手数料とは?
そもそも仲介手数料とは、賃貸物件を紹介してくれた不動産会社に対して支払う報酬です。不動産会社は、仲介手数料をもらうために以下のような業務を行います。
- 賃貸物件の紹介・内見の対応
- 賃貸借契約の手続き・書類作成
- 入居者が住むまでのサポート
不動産会社がオーナーとお客さんの間に入り、上記のような業務を行うことで、安全かつスムーズに賃貸物件を借りられます。
仲介手数料は、賃貸借契約が締結したときの成功報酬にあたります。 つまり、不動産会社がお客さんに賃貸物件の紹介や、内見の対応をしただけでは仲介手数料を請求できません。
仲介手数料の上限
仲介手数料の金額は物件によって異なりますが、上限は、法律(※)で以下のように定められています。
仲介手数料の上限=家賃の1か月分+消費税 |
たとえば、賃貸物件の家賃が10万円の場合、仲介手数料の上限は11万円(税込)になります。
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書 」によると、賃貸物件を借りる際に仲介手数料を支払った世帯は49.7%でした。 そのうち、支払った金額は「家賃1か月分」が76.4%と最多で、1か月未満が16.4%でした。
国土交通省の調査からも、仲介手数料として家賃の1か月分を支払うケースが多いのがわかります。
【賃貸】仲介手数料が半額の理由
賃貸物件において、不動産会社が仲介手数料を半額にしている主な理由は以下のとおりです。
- 早く入居者を決めたいため
- オーナーが費用を負担しているため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
早く入居者を決めたいため
空室期間が長く、不動産会社が早く入居者を決めたい物件では、仲介手数料を半額にするケースがあります。 仲介手数料を半額にすることで、入居者の初期費用が抑えられ、成約につながりやすくなるためです。
また、不動産会社が集客のために、独自で仲介手数料半額のキャンペーンをしているケースもあります。
オーナーが費用を負担しているため
不動産会社に支払う仲介手数料をオーナーが負担している場合、入居者の仲介手数料が半額で済む場合があります。
仲介手数料の上限は「家賃1か月分+消費税」と解説しましたが、これはオーナーが支払っても問題ありません。
法律上、不動産会社に支払う仲介手数料は、原則としてオーナーと入居者それぞれが「家賃の0.5か月分+消費税」を支払うものと定められています。
つまり、オーナーが仲介手数料として家賃0.5か月分を支払っている場合、不動産会社は入居者に家賃0.5か月分しか請求できないことになります。
ただし例外として、入居者の同意さえあれば、家賃1か月分の仲介手数料を入居者のみに請求しても問題ありません。 入居者が仲介手数料を家賃1か月分支払う場合は、賃貸借契約書にこの内容が明記されています。
他にも、オーナーが不動産会社に広告費を支払っている場合、不動産会社は利益を確保できるため、仲介手数料を半額にできるケースもあります。
仲介手数料が半額の物件で注意すべきポイント
ここでは、仲介手数料が半額の物件で注意すべきポイントを3つ紹介します。
- 物件の条件が悪くないかを確認する
- 初期費用の見積もりを確認する
- 不動産会社の担当者とコミュニケーションをとる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
物件の条件が悪くないかを確認する
仲介手数料が半額になっている物件は、条件が悪く不人気の可能性があります。 条件が悪い物件の具体例は以下のとおりです。
- 築年数が経過している
- 設備が古い
- 日当たりが悪い
- 周辺環境が不便である
- 駅から15分以上離れている
条件が悪いと入居者も決まりにくくなります。 家賃を下げれば興味を持ってもらいやすくなりますが、家賃収入が減少し、既存の入居者から家賃の値下げ交渉をされるリスクが高まってしまいます。
そこで、オーナーが仲介手数料を半額負担し、入居者の初期費用を安く抑えることで家賃を下げずに集客しているのです。
仲介手数料が半額でも、住み心地が悪ければ入居後に後悔する可能性が高くなります。内見などで物件の条件を確認し、納得したうえで選ぶようにしましょう。
初期費用の見積もりを確認する
仲介手数料が半額になっている代わりに、その他の初期費用が高くなっている可能性があるため、見積もりを細かく確認しましょう。
賃貸物件にかかる、主な初期費用の内訳と費用相場は以下のとおりです。
初期費用の内訳 | 費用相場 |
敷金 | 家賃1〜2か月分 |
礼金 | 家賃1〜2か月分 |
仲介手数料 | 家賃0.5〜1か月分 |
前払い家賃 | 家賃1か月分 |
火災保険料 | 数千円〜数万円 |
合計 | 家賃4〜6か月前後 |
敷金とは、物件を借りる際に担保としてオーナーに預ける費用です。 礼金とは、物件を借りる際にオーナーへ謝礼金として支払う費用です。
その他にも、仲介手数料が半額になる代わりに、書類作成費用や事務手数料などの名目で費用を請求される場合があります。
仲介手数料に含まれるはずの費用を別途請求されないように、初期費用の内訳や合計金額を見積もりで確認しておきましょう。
不動産会社の担当者とコミュニケーションをとる
不動産会社の担当者と積極的にコミュニケーションをとることで、物件やオーナーに関するさまざまな情報を教えてもらえます。 なぜ仲介手数料が半額なのか気になる場合は、直接理由を聞いてみるのもひとつの方法です。
自分の希望条件や予算などを不動産会社の担当者に伝えるだけでなく、プロのアドバイスや提案などにも耳を傾け、物件選びの参考にしましょう。
仲介手数料に関するよくある質問
ここでは、仲介手数料に関するよくある質問を2つ紹介します。
- 仲介手数料を支払うタイミングは?
- 仲介手数料は値下げ交渉できる?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仲介手数料を支払うタイミングは?
賃貸物件の仲介手数料は、賃貸借契約を締結した際に支払います。基本的には現金もしくは銀行振込で支払いますが、不動産会社によってはクレジットカードによる分割払いに対応している場合があります。
仲介手数料は値下げ交渉できる?
仲介手数料を値下げ交渉することは可能ですが、応じるかは不動産会社次第になります。
値下げ交渉する際は、予算の上限や契約の意思を明確に伝え、希望金額を具体的に提示することで、前向きに検討してもらえやすくなります。 仲介手数料の値下げ交渉をしたくない場合は、最初から仲介手数料が無料もしくは半額の不動産会社を選ぶか、礼金なしの物件を選ぶことで初期費用を安く抑えることが可能です。
まとめ
賃貸物件の仲介手数料が半額の理由や、半額の物件を選ぶ際の注意点を解説しました。
不動産会社に支払う仲介手数料は、家賃の1か月分を支払うケースが多いです。 仲介手数料が半額の物件が存在するのは、入居者を早く決めるためであったり、オーナーが費用を負担したりしていることが主な理由として考えられます。
ただし、仲介手数料が半額だからと安易に契約せず、物件の条件が悪くないか、その他の初期費用が高くないかを確認するようにしましょう。
仲介手数料が半額である理由を理解して、総合的に判断して物件を選びましょう。
iimon 編集部