賃貸物件を借りる際に支払う仲介手数料には、「家賃1か月分+消費税」という上限が法律で定められています。
しかし、下限は決まっておらず、仲介手数料が半額もしくは無料でも問題ありません。
また、賃貸物件を借りる際は、仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかります。
初期費用を抑える方法を理解することで、金銭的負担を軽減できるでしょう。
この記事では、仲介手数料の上限や、初期費用を抑える方法を解説します。
目次
【賃貸】仲介手数料とは?
仲介手数料とは、賃貸物件を紹介してくれた不動産会社に支払う報酬のことです。
不動産会社は、仲介手数料を受け取るために、賃貸物件の紹介をはじめ以下のような業務を行います。
- 内見の対応
- 賃貸借契約の手続き・書類作成
- 入居者が住むまでのサポート
不動産会社がオーナーとお客さんの間に入ることで、トラブルを未然に防ぎ、安全かつスムーズに賃貸物件の貸借を行っています。
なお、仲介手数料は賃貸借契約が締結したことによる成功報酬にあたります。
つまり、不動産会社はお客さんに賃貸物件の紹介や、内見の対応をしただけでは仲介手数料を請求できません。
仲介手数料の上限
仲介手数料の上限は、法律(※)で以下のように定められています。
仲介手数料の上限=家賃の1か月分+消費税 |
たとえば、賃貸物件の家賃が6万円の場合、仲介手数料の上限は6.6万円(税込)です。
なお、国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、賃貸物件で仲介手数料を支払った世帯は42.1%で、支払った金額は「家賃1か月分」が70.3%と最多でした。
「家賃1か月未満」は18.8%でした。
この調査からも、入居者は仲介手数料として、上限である家賃の1か月分を支払うケースが多いことがわかります。
なお、仲介手数料の上限は決まっているものの、不動産会社によって金額は異なるため、詳細は問い合わせて確認しましょう。
本来支払う仲介手数料は「家賃の0.5か月分+消費税」
仲介手数料の上限は「家賃1か月分+消費税」と解説しましたが、実はオーナーが支払っても問題ありません。
法律上、仲介手数料は原則として、オーナー・入居者それぞれが「家賃の0.5か月分+消費税」を支払うものと定められています。
つまり、オーナーが仲介手数料として「家賃の0.5か月分+消費税」を不動産会社に支払っている場合、入居者には「家賃の0.5か月分+消費税」しか請求できません。
ただし例外があり、入居者の同意さえあれば、「家賃の1か月分+消費税」の仲介手数料を入居者のみに請求しても問題ありません。
入居者が仲介手数料を家賃1か月分支払う場合は、賃貸借契約書にこの内容が明記されており、不動産会社からも説明されます。
仲介手数料以外の初期費用を抑える方法
賃貸物件を借りる際は、仲介手数料以外にも以下のような費用がかかります。
初期費用の内訳 | 費用相場 |
敷金 | 家賃1〜2か月分 |
礼金 | 家賃1〜2か月分 |
仲介手数料 | 家賃0.5〜1か月分 |
前払い家賃 | 家賃1か月分 |
火災保険料 | 1〜2万円 |
その他の費用 | 家賃0.5〜1か月分 |
合計 | 家賃4〜6か月分 |
賃貸物件の初期費用は、家賃の4〜6か月分程度かかります。
たとえば、家賃が6万円の場合、初期費用は24〜36万円程度かかります。
初期費用を抑えるには、以下のような方法があります。
- 繁忙期(2〜4月)を避けて引っ越す
- 敷金・礼金なしの賃貸物件を探す
- フリーレントの賃貸物件を探す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
繁忙期(2〜4月)を避けて引っ越す
賃貸物件を借りる際は、繁忙期(2〜4月)を避けるのがおすすめです。
繁忙期(2〜4月)は進学や就職など新生活を始める人が多く、1年で最も賃貸需要が高まります。
初期費用や家賃を安くしなくても入居してもらえるタイミングであるため、値下げ交渉が難しくなるでしょう。
また、引っ越し費用も繁忙期は2〜3割ほど高くなります。
初期費用を抑えたい人や、入居時期を調整できる人は、繁忙期(2〜4月)を避けるようにしましょう。
敷金・礼金なしの賃貸物件を探す
賃貸物件によっては、敷金・礼金なしの物件があります。
敷金とは、賃貸物件を借りる際にオーナーに担保として預ける費用のことです。
退去時には、入居者が負担する修繕費用が差し引かれて、残りが返金されます。
礼金とは、賃貸物件を借りる際に謝礼金としてオーナーに支払う費用のことです。
礼金は敷金とは異なり、支払っても退去時に返還されません。
敷金・礼金いずれも家賃1〜2か月分が相場になり、敷金・礼金なしの賃貸物件を選ぶと、初期費用を大きく抑えられます。
ただし、家賃が相場よりも高かったり、退去時に修繕費用を請求されたりする可能性があるため、契約条件や退去時の取り決めについて確認しておきましょう。
フリーレントの賃貸物件を探す
フリーレントの賃貸物件とは、入居後の約1〜2か月の間、家賃が無料で住める物件のことです。
オーナーが集客のために実施している場合があり、入居者の初期費用を抑えられます。
ただし、フリーレントの物件は、短期で解約時に違約金が設定されていたり、家賃が相場よりも高かったりするケースがあります。
仲介手数料に関するよくある質問
ここでは、仲介手数料に関するよくある質問を3つ紹介します。
- 仲介手数料はいつ支払う?
- 仲介手数料は分割払いできる?
- 仲介手数料がかからないのはどのようなケース?
それぞれ詳しく解説します。
仲介手数料はいつ支払う?
仲介手数料は、賃貸借契約を締結する際に敷金や礼金などの初期費用とあわせて支払うのが一般的です。
もし、賃貸借契約を締結していないにもかかわらず、仲介手数料を請求された場合は違法になるため、支払わないようにしましょう。
仲介手数料は分割払いできる?
仲介手数料は、一般的に現金もしくは銀行振込で支払うことが多いものの、クレジットカードでの分割払いに対応している不動産会社もあります。
分割払いすることで、初期費用の負担を軽減できます。
分割払いを希望する場合は、事前に不動産会社に相談してみましょう。
仲介手数料がかからないのはどのようなケース?
賃貸物件を借りる際に仲介手数料がかからないのは、主に以下のようなケースです。
- オーナーから直接賃貸物件を借りる場合
- 不動産会社が仲介手数料無料のキャンペーンを実施している場合
- オーナーが仲介手数料を全額負担している場合
ただし、仲介手数料がかからない物件は、その分家賃が高めに設定されていたり、他の初期費用が高くなっていたりする可能性があります。
仲介手数料が安いからといって安易に契約せず、総合的に判断することが重要です。
まとめ
賃貸物件における仲介手数料の上限は、「家賃の1か月分+消費税」です。
本来、入居者が支払う仲介手数料は「家賃の0.5か月分+消費税」ですが、入居者の同意があれば「家賃の1か月分+消費税」を支払っても問題ありません。
一般的に、賃貸物件を借りる際に必要な初期費用は家賃4〜6か月分が相場です。
初期費用を抑えるには、敷金・礼金なしやフリーレントの賃貸物件を探す方法があります。
入居時期を調整できる場合は、繁忙期(2〜4月)を避けると良いでしょう。
仲介手数料の上限や仕組みを理解し、納得したうえで賃貸借契約を締結しましょう。
iimon 編集部