マンションの代表的な構造に、RC造(鉄筋コンクリート造)とSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)がありますが、「どのような違いがあるのだろうか」と疑問に感じる人もいるのではないでしょうか?
マンションの構造が変わると、建物の機能性やコストなども大きく変わります。
そこでこの記事では、マンションのRC造とSRC造の違いについて解説します。
そのほかの構造の特徴や、防音性が優れているマンションの調べ方についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
RC造とは?
RC造(Reinforced Concrete)とは「鉄筋コンクリート造」のことで、建物の骨組みを「鉄筋・コンクリート」の2種類で構成する工法のことです。
骨組みを鉄筋で組み、その周りを囲んだ型枠のなかにコンクリートを流し込み、固めることで建物を造る工法です。
鉄筋とコンクリートを組み合わせることで、高い耐久性が生まれます。
RC造は、住宅や店舗、中高層の建築物まで幅広く採用されています。
RC造のメリット・デメリット
RC造のメリット | RC造のデメリット |
耐火性や耐震性が高い 防音性や気密性が優れている 設計の自由度が高い | コストが高い 結露やカビの発生リスクがある |
RC造は耐火性や耐震性が高く、地震にも強い構造です。
防音性や気密性も優れており、静かで快適に暮らしやすいでしょう。
しかし、RC造は作業の手間がかかることで、建築費などのコストが高額になりやすいのがデメリットです。
また、気密性が優れている反面、通気性が悪いことで湿気がたまりやすくなり、結露やカビが発生しやすくなります。
そのため、定期的に換気を行うなどの対策を講じましょう。
SRC造とは?
SRC造(Steel Reinforced Concrete)とは「鉄骨鉄筋コンクリート造」のことで、建物の骨組みを「鉄骨・鉄筋・コンクリート」の3種類で構成する工法のことです。
S造(鉄骨造)とRC造(鉄筋コンクリート造)を組み合わせたのがSRC造で、高層マンションや大規模な商業施設などで多く使われています。
SRC造のメリット・デメリット
SRC造のメリット | SRC造のデメリット |
耐震性や耐火性が高い 耐久性が高い 防音性が優れている 広い空間を有効に使える | 建設コストが高い 物件数が少ない 結露やカビの発生リスクがある |
SRC造は、S造とRC造が組み合わさることで、耐火性や強度がトップクラスの構造になります。
防音性も高く、丈夫な構造によって柱や梁の本数を少なくでき、広い空間を有効に使えます。
しかし、そのぶん建設コストが高いことで家賃も高くなり、物件数がほかの構造よりも少ないのがデメリットです。
RC造とSRC造の違い
RC造とSRC造の主な違いを以下にまとめました。
特徴 | RC造(鉄筋コンクリート造) | SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) |
構造 | 鉄筋・コンクリート | 鉄骨・鉄筋・コンクリート |
耐火性・耐震性 | 優れている | より優れている |
物件数 | 多い | 少ない |
建設コスト(家賃) | SRC造より安い | 高い |
RC造は耐火性や耐震性に優れていますが、SRC造はRC造に鉄骨が加えられていることで、性能がさらに高くなっています。
しかし、そのぶんRC造よりもSRC造のほうが建設コストが高くなることで、家賃も高めになる傾向があります。
賃貸物件において、コストや物件数を重視する人はRC造が向いており、建物の安全性や機能性を重視する人はSRC造が向いているでしょう。
賃貸マンションを選ぶ際は、構造の違いを理解し、予算や希望する性能とのバランスを考慮するのが大切です。
そのほかの建物の構造とメリット・デメリット
RC造とSRC造以外にも、建物には以下のような構造があります。
- S造(鉄骨造)
- W造(木造)
それぞれの特徴を理解しておくことで、賃貸物件を選ぶ際の選択肢が広がるでしょう。
S造(鉄骨造)
S造(Steel Construction)とは「鉄骨造」のことで、建物の骨組みを鉄骨で構成している工法です。
柱や梁に使用する鋼材の厚みによって、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類に分けられます。
軽量鉄骨造は厚みが「6mm未満」の鋼材を使用する構造で、重量鉄骨造は厚みが「6mm以上」の鋼材を使用する構造です。
S造のメリット・デメリット
S造のメリット | S造のデメリット |
工期が短い コストが抑えられる 間取りの自由度が高い | 防音性や断熱性がやや低い 耐火性はRC造やSRC造よりも低い 錆びが発生しやすい |
S造は、RC造やSRC造よりも工期が短く、コストも安く済みます。
それにより、家賃も比較的安い物件が多いです。
しかし、機能性はRC造やSRC造よりも低くなるため、家賃や間取りにこだわりたい人に向いているといえます。
木造
木造は、建物の骨組みを木材で構成している工法です。
一戸建てに多い構造ですが、木造アパートの賃貸物件も存在します。
木造のメリット・デメリット
木造のメリット | 木造のデメリット |
コストが安い 断熱性や調湿性に優れている
| 耐火性や耐震性が低い 防音性が低い シロアリの発生リスクがある |
木造は建設コストがかからないため、家賃も安めです。
断熱性や調湿性に優れていますが、耐火性や耐震性が低く、機能性はほかの構造よりも劣ります。
木造はシロアリが発生するリスクもあるため、定期的にメンテナンスが必要です。
最後に、構造別の性能を簡潔にまとめると、以下のようになります。
構造 | 耐火性 | 防音性 | 耐震性 | 経済性(コスト) |
SRC造 | ◎ | ◎ | ◎ | × |
RC造 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
S造 | △ | △ | △ | 〇 |
木造 | × | × | × | ◎ |
構造別の特徴を押さえておき、自分に合う物件を選びましょう。
防音性が優れているマンションの調べ方
RC造やSRC造のマンションは、防音性に優れていますが、物件によってばらつきがあります。
実際に内見した際に防音性を調べるには、以下の方法を実践しましょう。
- 内壁をたたいてみる
- 室内の窓を閉めて手をたたく
- 構造を詳しく確認する
それぞれ詳しく解説します。
内壁をたたいてみる
内覧の際に、室内から壁を軽くたたいてみましょう。
壁をたたいて重厚な音がする壁は密度が高いため、防音性が高いといえます。
ただし、軽い音しか鳴らない場合は、壁が薄いと考えられるため、防音性には不安が残ります。
室内の窓を閉めて手をたたく
窓を閉め切った室内で、手をたたいてみましょう。
たたいた音が壁に吸収されず、跳ね返った場合は防音性が高いと考えられます。
しかし、音が跳ね返ってこない場合は、音が抜けている可能性があるため、防音性が低いといえます。
構造を詳しく確認する
RC造・SRC造いずれの構造においても、壁の厚みや材料によって防音性が変わります。
賃貸物件で防音性が気になる人は、オーナーや不動産会社に壁の構造を詳しく確認してみましょう。
壁に厚みがあり、防音対策が施されている物件であれば安心できます。
いずれの方法も内見の際に簡単に確認できるため、ぜひ実践してみてください。
まとめ
マンションの代表的な構造である「RC造」(鉄筋コンクリート造)と「SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)」は、耐火性や防音性に優れています。
SRC造はRC造にS造が組み合わさることで、さらに強度が高まります。
しかし、そのぶんコストがかかるため、家賃も高くなりがちです。
そのほかにも、S造や木造などの構造があり、それぞれ特徴が異なります。
機能性とコスト面のバランスを見て、物件を選びましょう。
内見の際に防音性を調べるには、室内の壁を軽くたたいたり、音の響きを確認したりする方法があります。
壁の構造についても、オーナーや不動産会社に確認すると良いでしょう。
賃貸物件を選ぶ際は、構造にも着目して、自分にあったものを選びましょう。
iimon 編集部