賃貸物件を借りる際、かつては連帯保証人が必要でしたが、最近では家賃保証会社の利用を求められるケースが多くなっています。
家賃保証会社を利用することで、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
そこでこの記事では、家賃保証会社の仕組みや保証料の相場、利用するメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
目次
家賃保証会社とは?
家賃保証会社(賃貸保証会社)とは、入居者が家賃を滞納した際に、入居者に代わってオーナーに家賃を支払う会社のことです。
国土交通省によると、家賃保証会社の利用率は2010年では約40%でしたが、2021年には約80%まで増えています。
親族に頼みにくい事情があったり、民法改正によって個人の連帯保証人を立てにくくなったりしたことで、現在では家賃保証会社の利用がスタンダードになっています。
保証の範囲は、保証会社との契約プランによって異なりますが、家賃のほかにも管理費や更新料、原状回復にかかる費用も含まれていることが大半です。
なお、家賃保証会社が入居者の家賃を立て替えても、支払い自体が免除になるわけではありません。
保証会社が一時的に滞納家賃を立て替えているだけであり、入居者の支払い義務は免れません。
家賃保証会社の審査内容
家賃保証会社を利用する際は、入居を申し込んだ際に審査が必要です。
審査は家賃の滞納リスクなど、入居後のトラブルを防ぐために行われ、審査に通らないと賃貸物件を借りられません。
保証会社の審査では、主に入居者の支払い能力が確認されます。
具体的には以下のような内容です。
- 年収
- 職業(雇用形態)
- 勤続年数
- 滞納履歴の有無
なお、審査は家賃保証会社以外にも、管理会社やオーナーも行います。
家賃保証会社を含むすべての審査が通れば、賃貸借契約の締結ができます。
審査の日数は家賃保証会社によって異なりますが、1週間前後が目安です。
保証料の相場
家賃保証料は、家賃保証会社によって異なりますが、契約時に保証料として家賃0.5〜1か月分支払うのが一般的です。
たとえば、家賃8万円の賃貸物件の場合、保証料は4〜8万円が相場です。
保証会社によっては、保証料が毎月かかったり、契約更新のタイミングで更新料が必要になったりする場合があります。
家賃保証会社を利用するメリット
ここでは、家賃保証会社を入居者が利用するメリットを3つ紹介します。
- 連帯保証人が不要になる
- 入居審査に通りやすくなる
- 敷金なしで借りられる場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
連帯保証人が不要になる
多くの場合、家賃保証会社を利用することで連帯保証人が不要になります。
連帯保証人を見つけるのが難しい場合や頼みにくい場合には、家賃保証会社を利用する賃貸物件を選ぶことで解決できます。
ただし、賃貸物件によっては家賃保証会社の利用と連帯保証人どちらも求められるケースがあるため、事前に確認しておきましょう。
入居審査に通りやすくなる
家賃保証会社を利用することで、オーナーにとって家賃滞納リスクが減るため、管理会社やオーナーが行う入居審査に通りやすくなります。
収入が不安定な場合や、勤続年数が短い場合でも、家賃保証会社の利用によって入居が可能になるケースもあります。
敷金なしで借りられる場合がある
家賃保証会社があることで、オーナーが敷金なしにしている場合があります。
敷金とは、賃貸物件を借りる際にオーナーに担保として預ける費用です。
敷金は家賃の1〜2か月分が一般的ですが、敷金なしの物件ではその分負担を軽減できます。
ただし、敷金なしの物件は、家賃が高めに設定されていることがあるため、家賃相場を確認しておきましょう。
家賃保証会社を利用するデメリット
ここでは、家賃保証会社を入居者が利用するデメリットを2つ紹介します。
- 保証料がかかる
- 家賃滞納でブラックリスト入りする可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
保証料がかかる
家賃保証会社を利用する最大のデメリットは、賃貸借契約時に保証料を支払う必要があることです。
一般的に賃貸物件を借りる際に必要な初期費用は以下のとおりです。
初期費用の内訳 | 費用相場 |
敷金 | 家賃1〜2か月分 |
礼金 | 家賃1〜2か月分 |
仲介手数料 | 家賃0.5〜1か月分 |
前払い家賃 | 家賃1か月分 |
火災保険料 | 1〜2万円 |
合計 | 家賃4〜6か月分 |
たとえば、家賃が8万円の賃貸物件の場合、初期費用は30〜50万円が目安です。
保証会社の利用によって、さらに家賃0.5〜1か月分がかかるため、負担が大きくなるでしょう。
家賃滞納でブラックリスト入りする可能性がある
家賃を何度も滞納し、保証会社から督促があっても支払わない状態が続くと、信用情報機関に家賃滞納履歴が記載されます。
滞納履歴が記載されると、返済能力に問題ありとみなされる、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になってしまいます。
そうなると、しばらくの間クレジットカードの新規作成や、スマホを購入する際の分割払いができなくなるため、日常生活に支障をきたすでしょう。
家賃滞納でブラックリスト入りしないように、必ず家賃を期日までに支払いましょう。
もし、家賃を支払えないことがわかったら、早めに管理会社やオーナーに連絡して、いつまでに支払うかなどを伝えておくようにしましょう。
家賃保証会社に関するよくある質問
ここでは、家賃保証会社に関するよくある質問を3つ紹介します。
- 家賃保証会社は必ず利用しないといけない?
- 家賃保証会社は入居者が選べる?
- 家賃保証会社との契約更新に更新料は必要?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
家賃保証会社は必ず利用しないといけない?
たとえ連帯保証人を立てられる場合でも、保証会社の利用が賃貸物件の入居条件になっていれば、利用しなければなりません。
家賃保証会社の利用が必須であるかは、オーナーや管理会社の意向によるため、物件によって異なります。
家賃保証会社の利用が不要の賃貸物件を選べば、利用する必要はありません。
保証会社の利用が必要な賃貸物件は、物件広告の備考欄に記載があるため、物件探しの時点で確認しておきましょう。
家賃保証会社は入居者が選べる?
基本的には、オーナーや管理会社が提携している家賃保証会社を利用するため、入居者が選べません。
ただし、規模が大きい不動産会社であれば、複数の保証会社やプランを選べるケースもまれにあるため、事前に確認してみましょう。
家賃保証会社との契約更新に更新料は必要?
家賃保証会社との契約更新時に、更新料が必要な場合があります。
更新料は、1〜2年ごとに1〜2万円程度支払うケースが多いですが、家賃の10%と設定している保証会社もあります。
更新時は、家賃保証会社の更新料以外にも賃貸借契約の更新料が必要なケースも多いため、更新時に必要な費用を事前に確認しておきましょう。
まとめ
家賃保証会社は、入居者が家賃を滞納した際に、入居者に代わってオーナーに家賃を支払います。
連帯保証人を立てるのが難しくなった背景などにより、家賃保証会社の利用率は、2021年時点では約80%にまで増えています。
家賃保証会社を利用することで、入居者は連帯保証人が不要になったり、入居審査に通りやすくなったりするのがメリットです。
一方で、家賃0.5〜1か月分の保証料が必要になり、家賃滞納時にはブラックリスト入りする可能性があるため注意が必要です。
賃貸物件を探す際は、家賃保証会社の利用の有無や条件なども確認しておきましょう。
iimon 編集部