【図解あり】賃貸物件の経年劣化とは?原状回復の負担割合や退去費用の目安を解説

更新日:2024.10.29

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賃貸物件を退去する際、原状回復費用を請求される可能性があります。

独立行政法人国民生活センターによると、賃貸物件に関する相談は毎年3万件以上あり、そのうち原状回復に関する相談件数は、毎年1万3,000~4,000件程度と約4割を占めています。(※)

経年劣化や原状回復に関する正しい知識を持っておくことで、高額な退去費用を請求されても対処できるようになるでしょう。

この記事では、賃貸物件の経年劣化について詳しく解説します。

原状回復の負担区分や、退去費用の目安も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

※出典:独立行政法人国民生活センター|住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!-賃貸住宅の「原状回復」トラブルにご注意-

経年劣化とは?

疑問

経年劣化とは、年月の経過にともなって物件の設備や部材が自然に劣化していく現象のことです。

たとえば、日光による壁や床の日焼け、通常使用による設備の不具合などは、経年劣化にあたります。

通常損耗との違い

経年劣化と通常損耗は、どちらも入居者の故意・過失によらない損耗という点で共通しているものの、以下のような違いがあります。

  • 経年劣化:時間経過による自然な劣化
  • 通常損耗:日常生活での使用による損耗や汚れ

たとえば、ベッドやソファなどを置いたことによる床のへこみや、壁に刺した押しピンの跡などは、通常損耗に分類されます。

国土交通省のガイドラインでは、経年劣化および通常損耗は、賃料に含まれる部分とみなされ、修繕費用についてはオーナーが負担するものとしています。

ガイドライン

※出典:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)

経年劣化しやすい箇所

見積もり

賃貸物件で経年劣化が発生しやすい箇所は以下のとおりです。

  • 壁紙
  • 床(フローリング・畳)
  • 水回り設備

これらの箇所は、日常的な使用による経年劣化が目立ちやすくなります。

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

壁紙

壁紙は日光や空気に触れ続けることで、日焼けや色あせが起こりやすくなります。

冷蔵庫の裏やトイレの壁紙なども劣化しやすくなります。

壁紙は劣化すると、継ぎ目が浮いたりはがれたりしますが、これらは経年劣化に該当するため、修繕費用はオーナーの負担です。

ただし、喫煙によるヤニ汚れや入居者による故意の破損については、入居者負担となる可能性が高いでしょう。

床(フローリング・畳)

フローリングは、壁紙同様に日焼けしやすくはがれやすい箇所です。

また、畳は使用頻度に関係なく時間とともに劣化が進行します。

畳の変色やへたりなどは経年劣化として扱われ、張り替え費用は原則としてオーナー負担です。

水回り設備

水回り設備は水や湿気に常にさらされているため、経年劣化が進みやすい箇所です。

具体的には、以下のような劣化が発生します。

  • 蛇口やシャワーヘッドのパッキンの劣化
  • 浴槽や洗面台の変色
  • タイルのひび割れ
  • 給湯器の性能低下

これらの設備は、清掃や点検を定期的に行っていても、時間の経過とともに性能が低下するため、経年劣化とみなされます。

ただし、日常的な清掃や点検を怠ったことによる損傷については、入居者負担となる可能性があります

そのため、定期的な清掃と適切な使用を心がけましょう。

入居者はどこまで負担する?原状回復の基礎知識

原状回復

原状回復とは、入居者の故意・過失による損傷を修繕し、入居時の状態に戻すことです。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を以下のように定義しています。

「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

※引用元:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

つまり、入居者の故意・過失による損傷(特別損耗)の修繕費用は入居者負担、経年劣化や通常損耗によるものはオーナー負担であると示されています。

【具体例】原状回復の負担区分

原状回復の負担区分の具体例をまとめると、以下のようになります。

<入居者負担の例>

  • 壁紙に付着したたばこのヤニ汚れ
  • ペットによるキズや臭い
  • 落書きや故意のキズ
  • 台所の油汚れ

これらの損傷は、入居者の故意や過失によるものであり、入居者に修繕費用の負担義務が発生します。

<オーナー負担の例>

  • 壁紙の色あせ
  • フローリングの軽微なキズ
  • 設備の経年劣化による故障
  • 日常生活による軽微な汚れ
  • 畳の自然なへたり

これらは経年劣化や通常損耗によるものであり、オーナーが修繕費用を負担する必要があります。

なお、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」では、オーナーと入居者の原状回復の負担区分が、以下のように示されています。

ガイドライン1-1(新)ガイドライン1-2(新)ガイドライン2-1(新)ガイドライン2-2(新)

※出典:東京都|賃貸住宅トラブル防止ガイドライン

これらのガイドラインに法的強制力はありませんが、入居者とオーナーの一般的な負担区分が示されているため、参考になるでしょう。

退去費用の目安

相場

入居者が支払う退去費用は、主に以下の2種類です。

  • 賃貸借契約書に入居者負担と記載されている費用
  • 入居者の故意・過失による損傷

退去費用の目安は、部屋の面積や間取り、損傷の程度によって変動するものの、間取り別にまとめると以下のようになります。

間取り

退去費用(目安)

1R(ワンルーム)・1K

1.5〜4万円

1DK・1LDK

2〜5万円

2DK・2LDK

3〜8万円

3DK・3LDK

5〜10万円

4DK・4LDK

9万円〜

部屋でたばこを吸ったりペットを飼ったりすると、退去費用が高くなりやすいため、日頃からきれいな状態を保つように心がけましょう。

退去費用の支払方法

入居時に敷金を支払っていれば、退去時には敷金から退去費用が差し引かれて、残った金額が返金されます。

敷金とは、賃貸物件を借りる際にオーナーに担保として預けるお金のことです。

もし、敷金だけでは足りなかったり、敷金なしの物件であったりする場合は、入居者が別途退去費用を用意する必要があります。

経年劣化に該当するか迷った際の対処法

対策

経年劣化に該当するか迷った際は、以下の対処法を押さえておきましょう。

  • 国土交通省や東京都のガイドラインを参考にする
  • 消費生活センターに相談する

前述の国土交通省や東京都のガイドラインを参考にすることで、経年劣化に該当するか否かを判断しやすくなります。

もし、退去時に経年劣化の修繕費用まで請求された場合は、ガイドラインを基に管理会社やオーナーに交渉してみると良いでしょう。

管理会社やオーナーに相談しても折り合いがつかない場合は、消費生活センターに相談するのも1つの方法です。

消費生活センターでは、消費生活全般に関する苦情や相談を、専門の相談員がヒアリングを行い、公正な立場で処理にあたっています。

実際に、「入居時からあったキズの原状回復費用を求められた」「高額な原状回復費用を請求された」などの相談が寄せられています。

消費生活センターを利用することで、問題の解決に役立つでしょう。

※参考:独立行政法人国民生活センター|全国の消費生活センター等

まとめ

経年劣化とは、日光による壁の日焼けのように、年月の経過にともなって物件の設備や部材が自然に劣化していく現象のことです。

通常損耗とは、ベッドを置いたことによる床のへこみや壁に刺した押しピンの跡など、日常生活での使用による損傷や汚れのことです。

経年劣化と通常損耗の修繕費用は、原則としてオーナー負担となり、入居者の故意や過失による損傷は入居者負担になります。

退去費用は、1R(ワンルーム)・1Kでは1.5〜4万円、2DK・2LDKでは3〜8万円程度を想定しておきましょう。

経年劣化や通常損耗、入居者が負担すべき原状回復の内容などを押さえておき、退去時に余計な費用まで請求されないように注意しましょう。

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iimon 編集部

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