管理費(共益費)は家賃と何が違う?相場や管理費込み物件の注意点も

更新日:2024.08.30

家賃

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賃貸物件を借りる際、家賃とは別に「管理費」や「共益費」がかかるケースが一般的です。

賃貸物件によって管理費の金額は異なり、そもそも管理費が家賃に含まれている「管理費込み物件」もあります。

基本的に家賃と管理費はセットで請求されることが多いため、それぞれの違いや、管理費込み物件の特徴や注意点などを押さえておきましょう。

この記事では、管理費(共益費)と家賃の違いや、管理費の相場について解説します。

管理費の主な用途や、管理費込みの賃貸物件でお得になるケースなども紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

管理費(共益費)とは?

管理費(共益費)とは、賃貸物件の共用部分の維持管理や、建物の修繕などに使われる費用です。

不動産公正取引協議会連合会の「不動産の公正競争規約」によると、管理費と共益費は以下のように定義されています。

<管理費>

マンションの事務を処理し、設備その他共用部分の維持及び管理をするために必要とされる費用をいい、共用部分の公租公課等を含み、修繕積立金を含まない

<共益費>

借家人が共同して使用又は利用する設備又は施設の運営及び維持に関する費用

※引用元:不動産公正取引協議会連合会|不動産の公正競争規約

管理費と共益費は、ほとんど同じような意味合いで用いられ、賃貸物件によって呼び方が異なります。

管理費の主な用途

管理費は、具体的には以下のような用途で使用されます。

  • 共用部分の清掃費
  • エレベーターの保守・点検費
  • 廊下や階段の電気代

ただし、入居者が支払っている管理費と、実際にオーナーが支払う賃貸物件の管理にかかる費用はイコールになりません。

管理費(共益費)の使い道には決まりがなく、オーナーの財布に入ったら家賃と区別されないことが大半です。

入居者にとっても、管理費の大小にかかわらず、家賃と管理費の合計金額を毎月の支払いと考えておくと良いでしょう

管理費の相場

管理費の相場は、物件の立地や設備によって大きく異なるものの、家賃の5〜10%程度が目安です

国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、賃貸住宅に入居した人の家賃平均は78,737円で、共益費の平均は4,614円(家賃の約5.9%)でした。

ただし、高級マンションや共用設備が充実している賃貸物件では、管理費がさらに高くなる傾向があります。

※参考:国土交通省|令和5年度 住宅市場動向調査報告書

管理費は家賃とどう違う?

家賃は、賃貸物件を借りる対価としてオーナーに支払う費用です。

一方、管理費は、賃貸物件の共用部分の維持管理に使われる費用であるため、家賃とは性質が異なります。

しかし、これらはあくまで名目上であり、オーナーに使用用途の義務はありません。

そのため、入居者目線では、管理費を家賃の一部として考える人が大半です。

【管理費別】賃貸物件の特徴や注意点

ここでは、以下の管理費別における賃貸物件の特徴を解説します。

  • 管理費が高い賃貸物件
  • 管理費込みの賃貸物件

それぞれ詳しく見ていきましょう。

管理費が高い賃貸物件

管理費が高い賃貸物件は、共用設備が充実していることが多いです。

管理費と実際に管理にかかる費用は、イコールではないと紹介しましたが、実際に共用設備やサービスが充実している賃貸物件は、管理費が高く設定される傾向があります。

管理費込みの賃貸物件

管理費が家賃に含まれている「管理費込みの物件」には、以下のような特徴があります。

  • 家賃が高くなりやすい
  • 初期費用が高くなりやすい
  • 家賃補助がある場合はお得になるケースもある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

家賃が高くなりやすい

管理費込みの賃貸物件は、その名のとおり、管理費を家賃に含めています。

そのため、家賃が相場よりも高くなりやすいのが特徴です。

しかし、実際の負担額は、総額でみると管理費がある賃貸物件と変わらないケースも多いです。

賃貸物件の家賃を比較する際は、「家賃+管理費」で比較することが重要です。

初期費用が高くなりやすい

管理費込みの賃貸物件は、家賃が高くなることで初期費用も高くなる傾向があります

賃貸物件によって異なるものの、初期費用の内訳と費用相場をまとめると以下のようになります。

初期費用の内訳

費用相場

敷金

家賃1〜2か月分

礼金

家賃1〜2か月分

仲介手数料

家賃0.5〜1か月分

前払い家賃

家賃1か月分

火災保険料

1〜2万円

その他の費用

家賃0.5〜1か月分

合計

家賃4〜6か月分

賃貸物件にかかる初期費用は、家賃4〜6か月分が目安です。

表からもわかるように、敷金・礼金・仲介手数料などは、家賃を基準に算出される費用が多いです

そのため、家賃が管理費込みで高くなると、初期費用も比例して高くなりやすいといえます。

管理費込みの賃貸物件を借りる際は、初期費用の金額も事前に確認しておきましょう。

家賃補助がある場合はお得になるケースもある

企業からの家賃補助がある場合、管理費込みの賃貸物件のほうがお得になるケースがあります。

企業の家賃補助は、家賃のみを対象としており、管理費は補助の対象外であるケースが多いです。

しかし、管理費が家賃に含まれている場合、管理費も含めて企業が家賃補助で負担してくれるため、お得だといえます

家賃補助の詳細は、企業によって異なるため、詳しくは勤務先の規則を確認しましょう。

家賃や管理費に関するよくある質問

ここでは、家賃や管理費に関するよくある質問を3つ紹介します。

  • 家賃や管理費には消費税がかかる?
  • 収入に対する家賃や管理費の目安は?
  • 管理費の支払いは拒否できる?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

家賃や管理費には消費税がかかる?

居住目的の賃貸物件を借りている場合、家賃や管理費は原則として消費税がかかりません

ただし、居住目的ではなく、事務所や店舗などの事業目的で賃貸物件を借りる場合は、家賃や管理費であっても消費税がかかります。

※参考:国税庁|集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定

収入に対する家賃や管理費の目安は?

一般的に、家賃と管理費の合計金額は、手取り額の2〜3割以下に抑えるのが望ましいです。

たとえば、手取り額が30万円の場合、家賃と管理費の合計は6〜9万円が目安です。

ただし、適正な家賃は人によって異なります。

生活費を考慮したうえで、家賃と管理費の合計金額が、毎月無理なく支払えるかどうかで考えると良いでしょう。

管理費の支払いは拒否できる?

管理費は、賃貸借契約に記載されている費用であるため、締結した後は原則として支払いを拒否できません

管理費を支払わないと契約違反になり、最悪の場合は退去を求められる場合があります。

なお、賃貸借契約を締結する前であれば、交渉することは可能です。

しかし、いきなり管理費を交渉するよりも、家賃や初期費用を値下げ交渉したほうが、成功時の利益が大きいでしょう。

まとめ

管理費(共益費)は、主に賃貸物件の共用部分の維持管理に使われる費用です。

一方、家賃とは賃貸物件を借りる対価として、オーナーに支払う費用です。

管理費と家賃は性質が異なるものの、オーナーに使用用途の義務はありません。

そのため、入居者からすると、管理費は家賃の一部として考える人が多いです。

管理費の相場は、一般的に家賃の5〜10%程度が目安です。

管理費込みの賃貸物件は、家賃が高い傾向があり、初期費用も高くなりやすいため注意しましょう。

家賃と管理費の合計金額は、手取り額の2〜3割以下に抑えるのがおすすめです。

賃貸物件を選ぶ際の予算は、家賃と管理費の合計金額で確認しましょう

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iimon 編集部

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