契約更新で家賃の値上げを要求されても拒否できる?ポイントや対処法を紹介

更新日:2024.11.01

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「賃貸借契約の更新のタイミングで、オーナーから家賃の値上げを要求された。」

このような場合、家賃の値上げに応じなければ住み続けられないと思いがちですが、実際にはオーナーに正当な理由がない限り、入居者は要求を拒否できます

しかし、感情的になったり対処法を誤ったりすると、オーナーとの関係が悪化するリスクがあるため、ポイントを押さえておきましょう。

この記事では、賃貸借契約の更新でオーナーから家賃の値上げを要求された場合のポイントを解説します。

オーナーとの交渉が上手くいかなかった場合の対処法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

契約更新で家賃の値上げを要求されても拒否できる!

結論、賃貸借契約の更新時にオーナーから家賃値上げを要求されても、正当な理由がない限り入居者は拒否できます

借地借家法では、家賃の値上げについて以下のように定められています。

(借賃増減請求権)

第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

※引用:e-GOV 法令検索|借地借家法 第三十二条

条文においては、家賃の値上げを請求できることは明記されているものの、必ず値上げできるとは記載されていません。

最終的には、オーナーと入居者双方で協議する必要があります。

オーナーが家賃を値上げできる正当な理由

オーナーが家賃を値上げできる正当な理由としては、以下のようなものがあります。

  • 周辺の家賃相場が高くなった
  • 賃貸物件の税金(固定資産税や都市計画税など)が高くなった
  • 土地や建物の資産価値が上昇した
  • 経済事情の変動で従来の家賃が不相当になった

上記のような理由であれば、正当な理由として認められる可能性が高くなります。

しかし、正当な理由があっても、一方的にオーナーが家賃を値上げすることはできず、入居者と協議して決めなければなりません

双方の折り合いがつかなければ、最終的には裁判所の判断に委ねられます。

契約更新で家賃の値上げを要求された場合のポイント

賃貸借契約の更新時に、オーナーから家賃の値上げを要求された場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 家賃の値上げ根拠を確認する
  • 周辺の家賃相場を確認する
  • 感情的にならず冷静に対処する
  • 交換条件を提示する

それぞれ詳しく解説します。

家賃の値上げ根拠を確認する

オーナーから家賃の値上げを要求された場合、まずは値上げの根拠を確認しましょう。

前述したような正当な理由に該当する内容であるかや、値上げの提示額は妥当であるかを調べましょう。

オーナーが明確な根拠を示さない場合は、家賃の値上げ要求を拒否して問題ありません。

周辺の家賃相場を確認する

値上げを要求された家賃の金額が、周辺の家賃相場とかけ離れていないかを確認しましょう。

周辺の家賃相場は、SUUMOLIFULL HOME'Sなどの不動産ポータルサイトで簡単に調べることが可能です。

築年数や間取りなどの条件が近い賃貸物件を比較することで、値上げ額が妥当であるかを判断しやすくなります。

家賃相場と比べて値上げ額が著しく高い場合は、調べたデータをオーナーに伝えることで、値上げ額の引き下げを求められます。

参考:SUUMO|全国の家賃相場・賃料相場情報

参考:LIFULL HOME'S|家賃相場

感情的にならず冷静に対処する

オーナーから家賃の値上げを要求されても、感情的にならず冷静に対処することが重要です。

オーナーとの関係が悪化すると、交渉が困難になったり、契約更新後に住み続けにくくなったりするリスクが高まります。

高圧的な態度や暴言など、オーナーに悪印象を与えるとかえってマイナスになるため、冷静に話し合って対応するように心がけましょう。

交換条件を提示する

家賃の値上げを受け入れる代わりに、水回り設備の改善や更新料の減額など、交換条件を提示するのも1つの方法です。

設備に対する不満や、その他の費用の減額を交換条件として伝えることで、オーナーに応じてもらいやすくなります。

交渉が上手くいかなかった場合の対処法

オーナーとの交渉が上手くいかなかった場合、以下の対処法を検討しましょう。

  • 従来の家賃を支払い続ける
  • 引っ越しを検討する

それぞれ詳しく解説します。

従来の家賃を支払い続ける

オーナーとの交渉が上手くいかなかった場合、従来の家賃を支払い続けることで、一方的に退去させられる心配はありません

もし、「家賃の値上げに応じてもらえないなら退去してほしい」とオーナーに言われても、従来の家賃を支払えばそのまま住み続けられます。

オーナーが家賃の受け取りを拒否する場合は、法務局の供託制度を活用しましょう。

供託制度とは、オーナーが受け取らなかった家賃を供託所に預けることで、家賃を支払ったとみなされる制度のことです。

ただし、交渉が上手くいかないからといって家賃を支払わないと、家賃滞納による契約違反で、オーナーから退去を命じられるリスクが高くなるため注意しましょう。

引っ越しを検討する

家賃の値上げを要求されたことをきっかけに、引っ越しを検討するのも良いでしょう。

契約を更新せずに引っ越すことで、更新料を支払わずに済みます。

契約更新の家賃の値上げに関するよくある質問

ここでは、契約更新の家賃の値上げに関するよくある質問を3つ紹介します。

  • 契約更新で家賃の値上げを要求された際に相談できる窓口はある?
  • 定期借家契約でも家賃の値上げを要求される?
  • オーナーに契約更新で家賃の値下げを要求できる?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

契約更新の家賃の値上げで相談できる窓口はある?

契約更新の家賃の値上げに関する悩みは、消費生活センターに相談できます。

消費生活センターでは、専門の相談員が公正な立場で問題処理にあたっています。

通話料金のみで相談できるため、困った際は有効に活用しましょう。

※参考:独立行政法人国民生活センター|全国の消費生活センター等

定期借家契約でも家賃の値上げを要求される?

定期借家契約であっても家賃の値上げを要求される場合があります。

ただし、賃貸借契約書に「契約期間中に家賃の増額を要求しない」といった特約が記載されている場合は、家賃の値上げを要求されても拒否できます。

契約更新でオーナーに家賃の値下げを要求できる?

契約更新時に、入居者からオーナーに家賃の値下げを要求することも可能です。

以下のようなケースでは、値下げ交渉の余地があります。

  • 周辺の家賃相場が下がっている
  • 建物の老朽化が進んでいる
  • 周辺環境が悪化している
  • 競合物件が増えている
  • 設備が古く修繕が行われていない

なお、家賃の値下げを要求する際は、具体的な根拠と希望する値下げ額を明確に伝えることが重要です。

値下げ交渉に応じるかはオーナー次第になるものの、家賃の負担が大きい場合は交渉してみると良いでしょう。

まとめ

賃貸借契約の更新時にオーナーから家賃の値上げを要求されても、正当な理由がない限り入居者は拒否できます

正当な理由としては、周辺の家賃相場が高くなったり、賃貸物件の税金が高くなったりなどが挙げられます。

賃貸借契約の更新時に、オーナーから家賃の値上げを要求された場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 家賃の値上げ根拠を確認する
  • 周辺の家賃相場を確認する
  • 感情的にならず冷静に対処する
  • 交換条件を提示する

交渉がまとまらなければ、従来の家賃を支払い続ける、もしくは引っ越しを検討する方法があります。

オーナーとトラブルに発展しないために、家賃の値上げを要求されても冷静に対処しましょう。

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iimon 編集部

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