賃貸物件の退去費用はいつ払う?支払い方法や安く抑えるコツなどを解説

更新日:2024.10.24

賃貸

Cover Image for 賃貸物件の退去費用はいつ払う?支払い方法や安く抑えるコツなどを解説

賃貸物件を解約して退去する際は、原状回復などの退去費用を支払う必要があります。

退去費用は、基本的に退去日から1か月以内に支払うケースが多いです。

退去費用の支払い方法や相場、安く抑えるコツを理解することで、事前に準備ができ、気持ち良く退去できるしょう。

この記事では、賃貸物件の退去費用はいつ払うのか、支払い方法や安く抑えるコツなどを詳しく解説します。

賃貸物件の退去費用とは?

賃貸物件の退去費用には、主に以下の2つがあります。

  • 原状回復費用
  • ハウスクリーニング費用

それぞれ詳しく解説します。

原状回復費用

原状回復費用とは、入居者が住む前の状態に物件を戻すのにかかる費用です。

賃貸物件の入居者は、退去時に原状回復義務を負いますが、これは完全に入居前の状態に物件を戻すという意味ではありません。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を以下のように定められています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること

※引用:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

つまり、入居者は故意や過失など、自分が原因で物件を損傷させた場合に、修繕費用を負担する必要があります。

入居者の故意や過失などのキズとは、以下のようなものが該当します。

  • 入居者の不注意によってついたキズ・汚れ
  • 家具などを引きずってついたキズ
  • 適切に掃除しなかったことによるカビや汚れ
  • たばこの煙による壁紙の汚れや黄ばみ
  • ペットがつけた引っかきキズ

一方、通常の生活でついたキズや経年劣化による損傷は、入居者ではなくオーナーが基本的に負担します。

例えば、以下のようなキズの原状回復費用は、オーナーが負担するのが一般的です。

  • 日焼けによる壁紙や畳の変色
  • 入居者退去後に行うハウスクリーニング
  • フローリングのワックスがけ
  • 経年劣化による設備の故障
  • エアコンの内部洗浄

なお、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」では、入居者とオーナーの原状回復にかかる費用負担の考え方が、以下のように示されています。

※出典:東京都|賃貸住宅トラブル防止ガイドライン

ただし、賃貸借契約書に原状回復に関する特約が定められている場合は、特約の内容が優先されます。

また、損耗の内容や程度によっては、ガイドラインに沿わないケースもあります。

賃貸借契約書に記載がなかったり、入居者とオーナーどちらが負担すべきか判断がつかなかったりする際に、参考にするようにしましょう。

ハウスクリーニング費用

ハウスクリーニング費用とは、物件をきれいに清掃(クリーニング)するのにかかる費用です。

ハウスクリーニングの専門会社が、特殊な道具や薬剤を使用して、床・壁・水回りなどの室内設備を細かく清掃します。

ハウスクリーニング費用は、原則オーナーが負担します。

しかし、賃貸借契約書に入居者が負担するという特約の記載があれば、入居者が負担しなければなりません。

退去費用はいつ払う?

退去費用は、基本的に退去日から1か月以内に届く請求書に沿って払うのが一般的です。

賃貸借契約時に敷金をオーナーに払っていれば、敷金から退去費用が差し引かれるケースが大半です。

敷金が残れば返金され、不足したり敷金を払っていなかったりする場合は、退去費用を請求されます。

請求書には、多くの場合支払い期日が記載されているため、期限内に忘れずに支払いましょう。

支払い方法は銀行振込が一般的ですが、現金による直接支払いや口座引き落としの場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

退去費用の相場

退去費用は、賃貸物件の広さや入居年数、キズの程度などによって変動します。

賃貸物件の間取り別の退去費用の相場は、以下を目安に押さえておきましょう。

間取り

退去費用(相場)

1R(ワンルーム)・1K・1DK

2〜4万円

1LDK・2DK

4〜7万円

2LDK・3DK

5〜8万円

3LDK・4DK・4LDK

7〜9万円

請求された退去費用が相場から大きくかけ離れている場合は、本来オーナーが負担する費用も含まれている可能性が考えられます。

退去費用の内訳を確認し、疑問点があれば管理会社(オーナー)に問い合わせましょう。

不動産会社による退去費用の違い

ここでは、以下の不動産会社による退去費用の取扱いについて解説します。

  • 大東建託グループ
  • レオパレス21
  • ビレッジハウス

大東建託グループ

大東建託グループは、契約パターンによって退去費用の支払い方法が異なります。

  • 定額クリーニング費前払い型
  • 定額クリーニング費後払い型
  • 原状回復費用 退去時精算型

「定額クリーニング費」の契約パターンは、退去時のクリーニング費と原状回復費用が定額になるもので、契約時に支払う「前払い型」と、退去時に支払う「後払い型」があります。

支払う費用は、間取りによって以下のように異なります。

  • シングル(1DK以下):45,000円
  • カップル(1LDK〜2DK):55,000円
  • ファミリー(2LDK以上):65,000円

なお、ペット可能な物件や、入居者の故意・過失による損傷がある場合は、別途修繕費用が必要になる可能性があります。

「原状回復費用 退去時精算型」の契約パターンの場合は、退去時に実費で精算します。

退去日から約1か月を目安に精算の明細書が届くため、記載内容に従って手続きをしましょう。

※参考:大東建託リーシング株式会社|契約パターンのご案内

レオパレス21

レオパレス21の賃貸物件は、退去時に基本清掃料金として以下の金額を支払う必要があります。

間取り

家具・家電なしの料金

(税込)

家具・家電ありの料金

(税込)

1R・1K・1SK・1DK

38,500円

41,800円

1SDK・1LDK・1SLDK・2K・2DK・2SDK

49,500円

52,800円

2LDK・2SLDK・3DK・3LDK・3SLDK・4DK・4LDK

57,200円

60,500円

※参考:レオパレス21退去時の費用について(2024年4月時点)

なお、基本清掃料金を前払いしている場合は、退去時の支払いは不要です。

ただし、入居者の故意・過失による損傷などについては、基本清掃料金とは別に修繕費用を請求される場合があります。

また、ペット可の物件については、基本清掃料金に加えて33,000円(税込)がかかります。

詳しい内容は、賃貸借契約書を確認しましょう。

ビレッジハウス

ビレッジハウスの賃貸物件は、退去時クリーニング費用として、1㎡あたり1,210円(税込)が請求されます。

なお、他の不動産会社と同様に、入居者の故意・過失による損傷などは、別途修繕費用を請求される可能性があります。

※参考:ビレッジハウス|よくある質問

退去費用を安く抑えるコツ

退去費用を安く抑えるには、以下のコツを押さえておきましょう。

  • 賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認する
  • 入居前に既存のキズや汚れを記録しておく
  • こまめに掃除して清潔な状態を保つ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認する

退去費用を安く抑えるには、入居時には賃貸借契約書を、退去時には退去費用の内訳を確認しましょう。

ハウスクリーニング費用や鍵交換代など、ガイドラインではオーナー負担で示されていても、賃貸借契約書で入居者負担の特約があれば、入居者が負担する必要があります。

賃貸借契約を結ぶ際は、退去時に支払う内容を確認しておきましょう。

また、退去費用においても、オーナーが負担すべき修繕費用まで請求されていないかを確認し、疑問点があれば支払う前に管理会社(オーナー)に問い合わせましょう。

入居前に既存のキズや汚れを記録しておく

築年数が経過している物件では、入居時にすでにキズや汚れがついている場合があります。

退去時にそのようなキズや汚れの修繕費用まで請求されないように、入居する前に写真などで記録しておくことがおすすめです。

こまめに掃除して清潔な状態を保つ

退去費用を抑えるには、修繕箇所を少なくすることがポイントです。

汚れは放置すると取りにくくなるため、日頃からこまめに掃除して、清潔な状態を保つように心がけましょう。

また、退去時に汚れた状態であると、原状回復費用が高くなりやすいため、退去前も可能な限り掃除しておきましょう。

退去費用に関するよくある質問

退去費用に関するよくある質問を2つ紹介します。

  • 退去費用は分割払いできる?
  • 退去費用に納得いかない場合はどうしたら良い?

それぞれ順番に回答します。

退去費用は分割払いできる?

退去費用の支払いは、現金一括の銀行振込が多く、分割払いできないケースが大半です。

管理会社によっては、クレジットカードなどの分割払いに対応しているケースもあるため、希望する場合は事前に管理会社に相談しましょう。

退去費用に納得いかない場合はどうしたら良い?

退去費用が高額で納得いかない場合は、賃貸借契約書や退去費用の内訳を再度確認し、管理会社(オーナー)に交渉しましょう。

契約書に記載のないものは、国土交通省のガイドラインを参考にしましょう。

ガイドラインには法的拘束力がないものの、入居者の一般的な負担区分が示されているため、請求内容の妥当性を判断できます。

ただし、退去費用に納得いかないからといって支払わずに放置すると、最悪の場合訴訟を起こされるリスクがあるため、必ず管理会社(オーナー)に連絡するようにしましょう。

まとめ

賃貸物件を退去する際にかかる退去費用は、入居者の故意や過失によるものは入居者が負担し、経年劣化などはオーナーが負担するのが一般的です。

退去費用は、退去日から1か月以内に請求され、銀行振込で支払うケースが多いです。

クレジットカードなどの分割払いはできないケースが大半であるため、希望する場合は事前に管理会社に相談しておきましょう。

入居者が支払う退去費用は、1Kでは2〜4万円、3LDKでは7〜9万円程度が目安です。

賃貸借契約時に敷金を払っている場合は、退去費用と相殺され、残った敷金は入居者に返金されます。

退去費用を安く抑えるには、賃貸借契約書と退去費用の内訳を確認したり、こまめに掃除しておいたりすることが重要です。

退去費用を支払うタイミングや支払い方法を理解しておき、スムーズに退去できるように準備しておきましょう。

authorこの記事を書いた人
iimon 編集部

iimon 編集部