敷金が返ってこない!理由や対処法、トラブルを防ぐコツなど解説

更新日:2024.06.07

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賃貸物件に入居する際に支払う「敷金」は、退去時に原則返ってきます。 しかし、敷金が返ってこないケースもあり、どのような場合に返金されないのかを理解しておくことが重要です。

そこでこの記事では、敷金が返ってこない理由や対処法について解説します。 敷金のトラブルを未然に防ぐコツなども解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。

敷金とは?

そもそも敷金とは、賃貸物件を借りる際に担保として預ける費用です。 退去時に家賃の未納がなければ、部屋の修繕費を敷金から差し引き、残った金額が返ってきます。

国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」によると、敷金と礼金を支払った金額の最多は家賃の1か月分でした。

つまり敷金の相場は、家賃1〜2か月が目安といえるでしょう

出典:国土交通省|令和4年度住宅市場動向調査報告書

敷金が返ってくるまでの流れ

敷金が返ってくるまでの流れは、以下のとおりです。

1. 修繕費の見積もりを確認する

退去時は、オーナーもしくは管理会社の担当者が立ち会い、部屋のキズや汚れ、設備の状態を確認します。

入居者の故意・過失などによって生じたキズは、入居者が負担しなければなりません。 たとえば、以下のようなキズは入居者が修繕費を負担する必要があります。

  • タバコによる畳の焼け焦げ
  • 家具の搬入などで生じたキズ
  • 入居者が結露を放置して拡大したシミやカビ

一方、日照による畳やクロスの変色など、経年劣化や通常の使用によるキズなどは、オーナーが負担するのが一般的です。

国土交通省では、賃貸物件の修繕費に関するトラブルを未然に防ぐため「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成しています。 万が一疑問に思う修繕費を請求された場合は、適切かどうか確認してみましょう。

出典:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

2. 敷金の精算内訳書が届く

退去の立ち会いをしてからおよそ1か月程度で敷金の精算内訳書が届きます。 敷金から正しい修繕費が差し引かれているかなど内訳を確認し、不明点などがあれば管理会社に問い合わせましょう。

3. 敷金が返金される

敷金の精算内訳書に問題がなければ、賃貸借契約書に記載の時期に敷金が返ってきます。 敷金の返金方法は、指定された口座への振込が一般的です。

管理会社やオーナーの対応によっては、返金のタイミングが遅れる可能性があります。 返金時期が過ぎても敷金が返ってこない場合は、管理会社に問い合わせましょう。

礼金との違い

礼金とは、物件を借りる際にオーナーへお礼の意味合いで支払う費用です。 礼金は敷金とは異なり、退去時に返金されませんので区別しておきましょう。

敷金や礼金がない物件もある

物件によっては、敷金や礼金がない場合があります。 敷金・礼金なし物件は、初期費用を抑えられるメリットがありますが、物件の条件が悪い退去時に修繕費を請求されるなどのケースがあるため注意しましょう。

敷金が返ってこない理由

退去時に敷金が返ってこない理由として、以下のケースが考えられます。

  • 敷金よりも修繕費のほうが高い
  • 特約事項が記載されている

それぞれ詳しく解説します。

敷金よりも修繕費のほうが高い

敷金よりも退去時にかかる修繕費のほうが高いと、当然ながら敷金は返ってきません。 前述のとおり、入居者の故意・過失による修繕費は、入居者が負担します。

東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」では、入居者の費用負担の考え方が以下のように示されています。

出典:東京都|賃貸住宅トラブル防止ガイドライン

あくまで一般的な例示であるため、損耗の程度によって考え方が異なる場合があります。

退去時にはガイドラインを参考にして、修繕内容の請求が適切であるかを確認しましょう。

特約事項が記載されている

賃貸借契約書に敷金に関する特約事項が記載されている場合、その内容に合意して契約を締結したとみなされるため、記載内容に準じるのが原則です。

たとえば、特約事項として「退去後のハウスクリーニング費用は入居者負担になる」という記載があれば、敷金からハウスクリーニング費用が差し引かれることになります。

契約書にはさまざまな特約事項が記載されるため、必ず内容を確認してから契約しましょう。

敷金が返ってこない場合の対処法

敷金が返ってこない場合は、以下の対処法を検討しましょう。

  • オーナーや管理会社に確認する
  • 消費生活センターに相談する
  • 裁判で少額訴訟を行う

それぞれ詳しく解説します。

オーナーや管理会社に確認する

敷金が返ってこない場合、まずはオーナーや管理会社に確認しましょう。 返金手続きにミスが生じていたり、振込先が間違っていたりする可能性があります。

敷金の精算内訳書が手元にある場合は、金額もあわせて確認しておきましょう。

消費生活センターに相談する

不当な理由により敷金が返ってこない場合は、消費生活センターに相談してみましょう。

実際に2022年に独立行政法人国民生活センターに寄せられた「敷金が返金されない」「敷金を上回る修繕費を請求された」など、賃貸住宅の原状回復トラブルの相談件数は12,856件にもおよびます。

消費生活センターに相談することで、中立的な立場からさまざまなアドバイスがもらえるでしょう。

出典:独立行政法人日本国民生活センター|賃貸住宅の原状回復トラブル

少額訴訟を起こす

万一敷金が返金されず、管理会社やオーナーに誠実な対応が見られない場合は、簡易裁判所にて少額訴訟を起こすことが可能です。

少額訴訟とは、60万円以下の支払いを請求する民事裁判において、少ない費用でスムーズに紛争を解決できる裁判制度です。

訴状を提出してからおよそ1〜2か月後に審理が開かれ、原則1回で判決が出るため、手間が最小限で済みます。

話し合いで解決するのが最善ですが、折り合いがつかない場合の最終手段として覚えておきましょう。

敷金が返ってこないトラブルを防ぐコツ

敷金が返ってこないトラブルを未然に防ぐには、以下のコツを押さえておきましょう。

  • 契約書の内容を理解してから締結する
  • 入居前からある室内のキズや汚れを記録しておく

それぞれ詳しく解説します。

契約書の内容を理解してから締結する

敷金に関する内容は契約書に記載されているため、内容を理解してから締結しましょう。 敷金の取り決めや、ハウスクリーニング代などの特約事項も確認し、不明点があれば契約締結前に確認することが重要です。

契約が締結すれば、原則として契約書の記載内容に合意したことになるため、契約締結後に異議を唱えるのは難しいでしょう。

入居前からある室内のキズや汚れを記録しておく

敷金に関するトラブルを防ぐには、入居前からある室内のキズや汚れなどを記録しておくことが重要です。

敷金よりも差し引かれる修繕費のほうが多いと、敷金は返ってきません。

築年数が古い物件の場合、入居前からキズなどが多数あるため、入居者によるものかどうか判別しにくくなります。

入居者が負担する必要がないキズの修繕費を請求されないように、入居前からある室内のキズや汚れを写真などで記録しておきましょう。

まとめ

敷金が返ってこない理由や対処法、トラブルを防ぐコツを解説しました。

敷金は、退去時に家賃の未納がなければ、修繕費を差し引いた残りの金額が返ってきます。敷金が返ってこない場合は、まずはオーナーや管理会社に確認しましょう。 折り合いがつかなければ、少額訴訟を起こすのもひとつの方法です。

敷金のトラブルを防ぐには、契約書に記載の特約事項などの内容を理解し、入居時の室内の状態を記録しておくことが重要です。

敷金が返ってこない理由や対処法を理解し、トラブルに巻き込まれないようにしましょう。

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iimon 編集部

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