敷金と礼金の違いは何?相場と敷金・礼金なし物件のデメリットを解説

更新日:2024.06.07

賃貸

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敷金と礼金は、賃貸物件を契約するときに支払う初期費用です。

それぞれ家賃1か月分を請求されるケースが一般的ですが、 「そもそも敷金と礼金って何が違うの?」 「それぞれ何のために支払うお金?」 という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

これからお部屋探しをするなら、敷金と礼金のそれぞれ役割については、正しく理解しなければなりません。 また「初期費用が安く済むから」という理由だけで、敷金・礼金なし物件に飛びつくのは危険です。

この記事では、敷金と礼金の違いについて解説したうえで、敷金礼金なし物件のメリット・デメリットについて詳しく紹介します。

敷金と礼金の違いとは?

敷金と礼金は、いずれも賃貸物件を借りるときに必要な初期費用の一種です。 ただし、それぞれの役割は異なります。 まずは、敷金と礼金のそれぞれの役割の違いについて解説しましょう。

敷金とは

敷金とは「万が一の事態に備えるための担保」として、入居者がオーナーに預けておくお金です。 たとえば、入居中に以下のような事態が発生した場合、オーナーは敷金からその費用を調達できます。

  • 家賃を滞納した場合
  • 部屋の一部を傷つけてしまった場合
  • 退去時に原状回復費用が必要な場合

敷金は、あくまでも「万が一に備える担保」です。そのため、徴収した敷金の額が、必要な費用の額を上回る場合は、退去時に入居者に返金されます。

礼金とは

礼金とは、オーナーに対する「お礼」の意味合いで支払う費用です。 「これからお世話になります」「部屋を貸していただいてありがとうございます」という意味が込められており、返金されることはありません。 また、関西では「敷金・礼金」ではなく「保証金」や「敷引」と呼ばれるケースもあります。

敷金・礼金の相場はいくら?

敷金と礼金は、それぞれ家賃の1か月分が相場です。 たとえば、家賃が10万円の物件なら、敷金と礼金がそれぞれ10万円ずつ、合計20万円となるケースが多いでしょう。

敷金と礼金はいつ払う?

敷金と礼金は、賃貸契約時に一括で支払う必要があります。 また、賃貸契約時には、敷金と礼金を含め、以下のような初期費用を一括で支払わなければなりません。

  • 敷金
  • 礼金
  • 前家賃
  • 日割り家賃
  • 仲介手数料
  • 火災保険料

賃貸契約時の初期費用は、家賃の5〜6か月分が目安と言われています。 つまり、家賃10万円の物件なら、50〜60万円程度の初期費用がかかります。

敷金・礼金なし物件はやめた方がいい?注意すべきデメリットとは

「初期費用をできる限り抑えたい」という方は、敷金・礼金なしという条件に絞ってお部屋探しをするケースもあるでしょう。

しかし、敷金・礼金なしの物件には、「初期費用が安くなる」といったメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

続いては、敷金・礼金なし物件に共通する5つのデメリットを紹介しましょう。

家賃が相場より割高なケースがある

礼金を請求しない代わりに、家賃に金額を上乗せしている物件も存在します。 そのため、敷金・礼金なしの物件は、周辺相場と比較して、家賃が割高なケースが多いです。

いくら初期費用を安く抑えても、家賃が高ければ、入居者のトータルの負担は大きくなってしまいます。 敷金・礼金なし物件を借りる場合には、周辺の家賃相場と比較して、不当に高すぎないかを確認する必要があるでしょう。

退去費用がかかる

敷金がない分、退去時のクリーニングや修繕にかかる費用は実費で請求されます。 また、入居者の不注意によってできた傷や汚れがある場合には、原状回復費用を追加で請求されるケースもあるため注意が必要です。

とくに、壁紙やクッションフロアなどを張り替える必要がある場合は、数万円以上の高額な費用を請求されるケースも少なくありません。

敷金なし物件を選ぶ場合は、退去費用や原状回復費用の請求ルールについて、事前に確認することをおすすめします。

違約金の特約がついている可能性がある

敷金がない物件は、いざというときに担保となるものがありません。 そのため、1〜2年の短期で退去した場合に「短期解約違約金」を請求するオーナーが多くなっています。 解約金の特約の有無については、契約時に必ず確認が必要です。

家賃保証会社の利用を勧められるケースがある

担保となる敷金がない代わりに、家賃保証会社の利用を義務化しているオーナーも存在します。 家賃保証会社を利用する場合、家賃の0.5〜1か月分の保証金を支払わなければなりません。 敷金がなくても、保証金の支払い義務がある場合、結局初期費用は安くなりません。

そもそも物件の数が少ない

敷金・礼金なしの物件は、そうではない物件と比較して、数が多くはありません。 エリアや間取りなどの条件を限定すると、1部屋も見つからない可能性もあります。

敷金・礼金に関するよくあるトラブル

敷金・礼金に関する事項は、不動産会社から入居者へ説明をしておかなければなりません。 説明が不十分な場合、さまざまなトラブルが発生する恐れがあります。

続いては、敷金・礼金に関するよくあるトラブルの事例をいくつか紹介しましょう。

退去時に多額の費用を請求された

敷金がない物件は、退去時に部屋のクリーニング費用や原状回復費用を実費で請求されるケースが多いです。 ただし、入居時から傷がついていた箇所や、経年劣化による自然消耗で傷がついたものに関しては、入居者は原状回復費用を負担する必要がありません。

それにもかかわらず、敷金がないのを良いことに、本来オーナー側で負担すべき費用まで入居者の退去費用として請求するオーナーも存在します。 退去費用については、オーナーとの間でトラブルが発生しないよう、ルールをしっかりと確認する必要があるでしょう。

敷金がまったく返ってこなかった

「家賃の滞納がなければ、敷金は全額返ってくるもの」と考えている方もいるでしょうが、これは間違いです。

退去時にかかるクリーニング費用などは、敷金から清算することを、想定しておかなければなりません。

敷金はあくまで「担保として預けるお金」ではあるのですが、全額返ってくるケースは少ないでしょう。

敷金・礼金なし物件のはずなのに、初期費用が高すぎる

敷金・礼金なし物件を探している方は、「初期費用をできる限り安くしたい」と考えている方が多いはずです。

しかし、実際は敷金・礼金なしの物件であっても、初期費用は無料にはなりません。 前家賃や仲介手数料など、他にもさまざまな初期費用がかかるため、敷金・礼金なしの物件でも初期費用の見積もりは事前に確認しておきましょう。

また、不動産会社によっては、初期費用の分割払いやカード払いに対応してもらえることもあるので、必要な場合は問い合わせてみるといいでしょう。

不動産会社によって敷金・礼金の金額に違いはある?

敷金や礼金の金額は、基本的に物件ごとに決められているため、仲介する不動産会社によって変わることはありません。

ただし、以下のようなケースでは、不動産会社によって敷金や礼金の金額が異なる場合もあります。

  • 不動産会社が独自に大家さんに交渉したケース
  • 不動産会社が物件情報を最新に更新できていないケース

いずれにしても、できる限り安い金額で募集をしている不動産会社を選ぶのが望ましいでしょう。

まとめ

敷金は万が一のための担保としてオーナーに「預ける」お金、礼金はお礼の気持ちを表すためにオーナーに「支払う」お金です。 それぞれ役割が異なるため、「敷金・礼金なし物件」だけでなく、「敷金のみで礼金なしの物件」も存在します。

お部屋探しをスタートする前には、敷金と礼金の役割を正しく理解しておきましょう。 また、初期費用を抑えたいからといって、安易に敷金・礼金なし物件を契約するのは危険です。

敷金・礼金なし物件には、家賃が相場よりも高額なケースや、退去時に多額の費用がかかってしまうケースもあります。 また、そもそも物件数が少ないため、見つけられないこともあるでしょう。

賃貸契約を締結する際には、敷金や礼金について不動産会社からしっかり説明を受けたうえで、納得できる契約を行うことが大切です。

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iimon 編集部

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