敷金礼金をなしにできるのはなぜ?理由や注意点、敷金礼金なし物件を選ぶ際のポイントを解説

更新日:2024.06.10

賃貸

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初期費用が抑えられることから、敷金礼金なしの賃貸物件を選ぶ方も増えてきていますが、次のような不安を抱えている方も多いと思います。

「敷金礼金なしの代わりに他にお金を請求されるのではないか」 「敷金礼金にするために何か条件が必要なのではないか」

費用が抑えられるというメリットがある一方、敷金礼金なしの物件を選ぶ前に、必ず確認しておくべきことがあります。

そこでこの記事では、敷金礼金なしにできる理由や注意点、敷金礼金なしの賃貸物件を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。

「敷金礼金なしの物件はなんとなく不安」と感じている人は、この記事を最後まで読んでいただくことで、安心して部屋探しをすることができるでしょう。

敷金・礼金とは

はじめに、敷金」と「礼金」の基本的な概要について触れておきましょう。

これらのお金がどのようなものかを知ることで、敷金礼金なしの場合のメリット・デメリットをより深く理解できます。

敷金は、賃貸契約を結ぶ際にオーナーが預かり、入居者が退去する際に返金されるお金です。

このお金は通常、原状回復費用(賃貸物件を元の状態に戻すための費用)に使われ、退去時には諸々の費用が差し引かれた後、残額が返金されます。

一方、礼金は、入居者が物件を借りる際にオーナーに対して感謝の気持ちを表すために支払うお金です。

文字通り、「ありがとう」の意味合いが強いお金であり、敷金のように返金されることはありません。

敷金礼金をなしにできる理由

「敷金礼金なし」と聞くと、なぜそのような条件が適用されるのか理由が気になりますよね。

本来あるはずの敷金や礼金がないのであれば、他に何かお金を請求されるのではないかと心配になることでしょう。

敷金礼金なしの理由は、主に2つあります。

1. 別の名前で費用が請求されている

本来、敷金や礼金は、家賃未払い時の保証料や退去時の原状回復費用(部屋を元の状態に戻すための費用)として使われます。

敷金礼金なしの賃貸物件の場合、初期費用には「敷金」や「礼金」という名前ではなく、「保証料」や「クリーニング費用」として請求されることがあります。

保証料

保証会社(入居者が家賃を滞納した場合に、入居者の代わりに家賃を立て替える)に加入するために必要となる費用のことで、家賃の0.5〜1ヶ月分が目安となります。

<h4>クリーニング費用</h4>

次の入居者が気持ちよく入居できるように部屋をキレイにするためのお金で、支払い金額は部屋の広さによって変わります。

たとえば、1Rや1Kなど一人暮らし用の部屋であれば、20,000円〜40,000円が相場となります。

初期費用として賃貸契約を結ぶ際に預ける場合もありますが、退去時に請求される場合もあるため、後からお金がかかる可能性も考慮しておきましょう。

2. 長期契約が前提となっている

敷金礼金なしの賃貸物件は、長期間居住することが前提となっている場合が多いです。

オーナーにとって、賃貸物件の空き家期間が短いほど安定した収入が期待できるため、空き家期間を作らないために敷金礼金をなしにすることがあります。

たとえば、2年未満などの短期間で解約する場合は違約金が発生する可能性があり、家賃の1〜2ヶ月分が違約金として請求されます。

そのため、初期費用の安さだけでなく、違約金の発生期間や金額を事前に確認することをおすすめします。

敷金礼金なしのメリット

敷金礼金なしの賃貸物件には、次のメリットがあります。

初期費用が安くなる

賃貸物件を借りる際には、平均で家賃の5ヶ月分に相当する初期費用が必要とされます。

たとえば、家賃6万円の物件を借りる場合は、初期費用として最初に30万円程度を支払う必要があります。

まとまったお金が必要となるため、初期費用が原因で引越しを迷うこともあるでしょう。

一方、敷金礼金なしの物件では初期費用を抑えられます。

敷金と礼金がそれぞれ家賃の1ヶ月分と仮定すると、合計で家賃の2ヶ月分の費用を抑えられるため、抑えた分の費用を家具の購入など他の費用に充てることができます。

また、急な引越しでまとまったお金が用意できない場合にも便利です。

敷金返還トラブルを回避できる

敷金がある物件では、退去時に原状回復費用を差し引いた残額が返金される仕組みとなっています。

原状回復費用とは、次の入居者に部屋を貸すために必要な修復費用のことです。

経年劣化による傷や汚れの修復費用はオーナーが負担しますが、入居者が故意または過失で引き起こした傷や汚れの修復費用は入居者負担となり、敷金から差し引かれます。

しかし中には、傷や汚れが経年劣化によるものなのか、入居者の故意または過失によるものなのかがはっきりしない場合があり、オーナーが負担するべき費用が敷金から差し引かれてしまうことがあります。

この場合、敷金の返金額が減り、敷金の返還トラブルに発展することも少なくありません。

一方、敷金礼金なしの物件では、敷金そのものが存在しないため、「敷金が戻ってこない」「敷金の返金額が少ない」といった悩みを抱える必要はありません。

敷金礼金なしの賃貸物件を探す際の3つの注意点

敷金礼金なしの賃貸物件はメリットが大きいように思えますが、一方で注意すべき点もあります。

1. 物件を探す際のハードルが上がる

敷金礼金なしの賃貸物件は、少しずつ増加していますが、まだまだ選択肢は限られています。

以下は、不動産ポータルサイト「スーモ」での検索結果です。

全体の物件数と敷金礼金なしにチェックを入れた場合の物件数を比較すると、敷金礼金なしの場合はヒットする物件数が大幅に少なくなっていることがわかるでしょう。

東京

大阪

全体の物件数

1,565,039件

1,191,805件

敷金礼金なしの物件数

368,502件

462,826件

参考:スーモ(2023/10/20時点)

さらに、ペットと一緒に住む場合は、物件探しが一段と難しくなります。

一般的に、ペットと一緒に住む場合は、退去後のクリーニング費用が高くなる傾向があるため、その分敷金も家賃の1〜2ヶ月分上乗せされることが多いです。

本来であれば上乗せされるはずのものを「なし」にして探すため、どうしても選択肢が限られてしまいます。

東京

大阪

全体の物件数

1,565,039件

1,191,805件

敷金礼金なしの物件数

368,502件

462,826件

敷金礼金なし・ペット相談の物件数

75,970件

130,416件

参考:スーモ(2023/10/20時点)

物件の条件にこだわりたい場合は、敷金礼金なしではなく、敷金なしまたは礼金なしなど、どちらか一方に絞って探すことも検討してみましょう。

2. 家賃が高めに設定されている場合がある

敷金礼金なしで初期費用が抑えられる一方で、毎月の家賃に少しずつ上乗せされている場合があります。

たとえば、月々の家賃が6万円の物件を考えてみましょう。

一方は敷金と礼金を支払う必要があり、もう一方は敷金と礼金なしで、代わりに毎月の家賃が5,000円増額されているケースを想定してみます。

敷金礼金あり

敷金礼金なし

敷金(1ヶ月分)

60,000円

0円

礼金(1ヶ月分)

60,000円

0円

家賃

60,000円

65,000円

1年間の総支払額

840,000円

780,000円

2年間の総支払額

1,560,000円

1,560,000円

このように、1年間では敷金礼金なしの方が安くなりますが、2年以上住む場合には、敷金礼金ありの方が総支払額が安くなります。

初期費用を最小限に抑えたい場合は魅力的かもしれませんが、居住期間によっては損をしてしまう可能性があることも考慮しておきましょう。

3. 短期解約で違約金が発生する場合がある

敷金礼金なしの賃貸物件は、長期の契約を前提としています。

2つ目の注意点で説明したように、敷金礼金なしであっても毎月の家賃に少しずつ上乗せすれば、おおよそ2年で総支払額は同じになりますよね。

オーナーにとっては、2年居住してもらってようやく敷金礼金ありの場合と同じ収入を得られるため、短期間で契約を解消されると損失につながってしまいます。

そのため、「2年未満で契約を解除する場合は、家賃の1〜2ヶ月分の費用を違約金として支払ってくださいね」といった特約が設定されていることがあります。

敷金礼金なしの賃貸物件を探す際は、このような特約が適用されていないか、契約書をよく確認することが大切です。

敷金礼金なし物件を選ぶ2つのポイント

敷金礼金なし物件のメリット・デメリットがわかったところで、選ぶ際のポイントを2つお伝えします。

1. なぜ敷金礼金なしの物件なのかを確認する

敷金礼金がなしになっているのは、必ずなんらかの理由があります。

もし、オーナーが早く物件を満室にしたいなどの理由であれば、その物件を検討してもいいでしょう。

しかし、家賃が相場よりも高い、物件のグレードや設備が他の物件に比べて劣っているという理由で、敷金礼金をなしにして募集している場合もあります。

このような場合、初期費用を抑えることはできても、毎月の家賃が負担になったり、住み心地が悪いなどの不満を抱えることにもなりかねません。

そのため、なぜ敷金礼金なしになっているのか、仲介会社の方に確認することをおすすめします。

2. 契約書をよく確認する

敷金礼金なしの賃貸物件の中には、敷金礼金の代わりに別の名目で費用が請求される場合があったり、短期解約時に違約金が発生する場合があります。

これらの詳細は見積書や賃貸契約書に書かれているため、契約前によく確認しておくことが大切です。

とくに、賃貸契約書には特約(オーナーが特に取り決めておきたい内容)など重要な情報が含まれていることがあるため、見落とさないように気を付けましょう。

これらのポイントを押さえることで、より安心して賃貸物件の契約を進められます。

まとめ

敷金礼金なしの物件は、初期費用を安く抑えられ、退去時の敷金返金のトラブルを回避できるというメリットがあります。

一方で、以下の注意点があるため、安易に安さだけに飛び付かず、その物件が本当に自分にとってベストかどうかを判断する必要があります。

  • 敷金礼金なしの賃貸物件は、別の名目で費用が課せられたり、長期契約が必要な場合がある
  • 敷金礼金なしの賃貸物件を選ぶ際は、家賃への上乗せ、短期解約時の違約金がないかどうかを確認する

なぜ敷金礼金が免除されているのか、契約書にきちんと目を通すことが大切

敷金礼金なしの賃貸物件を検討する際は、こうしたポイントを頭に入れ、理想の部屋探しの参考にしてみてください。

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iimon 編集部

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