賃貸の更新料を払わないとどうなる?交渉で安く済ませることは可能?

更新日:2024.06.10

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「賃貸の更新料を支払いたくない」と思っている方も多いでしょう。

また、賃貸の更新料を支払わなかった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

この記事では、更新料を払わないとどうなるのか、そもそもなぜ更新料を支払わなければならないのかをわかりやすく解説します。

賃貸の更新料を安く済ませるコツについても合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

更新料を払わないとどうなるの?

まずは、更新料を払わないとどうなるのか、考え得る2つのケースについて紹介します

退去させられる可能性がある

契約書に明確な記載があるのにもかかわらず、更新料の支払いを拒否した場合、契約解除となり、強制的に退去させられる可能性があります。

とはいえ、実際に退去を迫られるケースは多くはありません。

法的にみてみると、強制退去を行うためには、以下の2つの条件を満たす必要があります

  • 家賃を3か月以上滞納している
  • 貸主・借主間の信頼関係の喪失

出典:東京新橋法律事務所

つまり、更新料を支払わなかったからといって、すぐに「出ていってください」と言われるわけではありません。

とはいえ、実際に、更新料を2度支払わなかったために法廷で争われたという事例もあります。

この事例においては、「借主が合理的理由なく長期にわたって支払わず、今後もその解消が期待できない事情においては、当該不払いは賃貸借契約の信頼関係の破壊にあたる」と判断され、契約解除に追い込まれました。

出典:東京地判 平29・9・28 ウエストロー・ジャパン

「更新料を支払いたくないけど、退去もしたくない」という場合には、更新料の支払いを催促する通知を無視せず、オーナーに条件を交渉してみる必要があるでしょう。

遅滞損害金を請求される場合がある

更新料の支払いが遅れると、遅延損害金を請求される場合があります。

たとえ契約書に遅延損害金に関する記載がなかったとしても、民法415条の定めにより、オーナーは入居者に遅延損害金を請求する権利が認められるため、注意が必要です。

【民法415条より抜粋】

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」

出典:e-GOV法令検索

結果的に、相場以上に金額を支払う羽目になる可能性もあります。

賃貸物件における更新料とは?

賃貸物件では、更新料を支払わないと契約解除となり、退去に追い込まれる可能性があります。

それでは、そもそも更新料とは何のための費用なのでしょうか。

通常、マンションなどの賃貸物件には、契約期間が設定されています。

そして、契約満了後もその物件に住み続けたい場合には、契約の更新が必要です。

その際、家賃とは別に支払う必要があるのが、更新料です。

一般的には、オーナーが更新手続きを行うための「手間賃」という意味合いで請求されています。

しかし、実際に賃貸物件のオーナー向けに行われた調査によると、更新料を徴収する理由については、以下のような回答が全体の半数を締めています。

  • 一時金収入として見込んでいるから(55.1%)
  • 長年の慣習だから(55.1%)

出典:国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査」

つまり、更新料は明確な用途があるわけではなく、オーナーの収入源として徴収されている可能性が高いでしょう。

なお、更新料の相場は、家賃の1か月分です。

5万円の家賃なら、更新料の相場も5万円になります。

また、更新料の支払いついては、法律で義務付けられているわけではありません

実際に「更新料なし」の物件も存在します。

 しかし、賃貸契約書に更新料についての記載がある場合には、契約上の義務として入居者はオーナーに更新料を支払わなければなりません。

更新料の支払いを拒否できるケースとは?

更新料は法律で支払いを義務付けられているわけではないため、ケースによっては更新料の支払いを拒否できる可能性もあります

続いては、更新料の支払いを拒否できるケースについて、具体例を紹介しましょう。

契約書に更新料に関する記載がない場合

以下の場合は、更新料の支払いを拒否できます。

  • 契約書に更新料に関する記載がない
  • 契約書の更新料に関する記載内容が曖昧

更新料は、そもそも法律的に支払い義務が規定されているものではありません。

あくまで「当事者間の合意」を支払い根拠としているため、そもそも賃貸契約書に更新料の記載がない場合や、記載があったとしても金額が明確に記載されていない場合には、無効となる可能性が高いのです。

更新料の金額が高すぎる場合

更新料の金額が高すぎる場合には、支払い義務が無効となる可能性があります。

たとえば、以下のような条件の賃貸物件については、「更新料が高額すぎる」と裁判で認められています。

  • 家賃:月額4.5万円
  • 礼金:6万円
  • 更新料:10万円
  • 契約期間:1年間

この事例では、上記の物件の入居者がオーナーを相手に「過去5回支払った更新料の返還請求」を求めて裁判を起こしました。

裁判所は「1年という契約期間満了の度に10万円という高額の更新料の支払い義務を定める契約条項に合理性はない」として、消費者契約法違反を認めたのです。

(平成21年8月27日大阪高裁判決)

更新料の相場は「2年契約で家賃1か月分」です。

これと比較し、更新料の金額が不当に高すぎると感じる場合には、弁護士などの専門家に相談し、オーナーに条件の変更を交渉してみても良いでしょう。

賃貸の更新料を安く済ませるコツ

続いては、賃貸の更新料を安く済ませるコツについて解説します。

オーナーに交渉する

賃貸契約書に更新料について明確な記載がある場合には、更新料を支払わなければなりません。

もし、記載された金額よりも更新料を安く済ませたいなら、オーナーに交渉するしかありません。

「引っ越しも検討している」「収入が減少して生活が苦しい」など、理由を説明して交渉することで、更新料の引き下げに応じてくれる場合もあります。

ただし、相場通りの更新料の金額が設定されている場合、交渉がうまくいく可能性は低いです。

更新料の引き下げが難しそうなら、家賃と同時に交渉してみるのも一つの手段でしょう。

「家賃か更新料のどちらかを下げていただければ、更新しようと思っている」など、更新の条件に値下げを打ち出すのもおすすめです。

更新料なしの物件を選ぶ

更新料をどうしても支払いたくないなら、はじめから「更新料なし」の物件を選ぶのも良いでしょう。

更新料なしの物件には、「更新料を支払わなくていい」「退去時期を迷う必要がない」というメリットがあります。

ただし、以下のようなデメリットも存在するため、注意しましょう。

  • 家賃が高いケースがある
  • 初期費用(鍵交換費用やクリーニング費用など)が相場より高いケースがある
  • 人気がない物件の可能性が高い

更新料がなくても、その分家賃が高く設定されているのでは、意味がありません。

また、不人気で入居者が集まらないために、更新料なしにしている物件もあるため、慎重な見極めが必要です。

更新料だけじゃない!賃貸の契約更新時にかかる費用

賃貸物件の契約更新時にかかる費用は、更新料だけではありません。

続いては、契約更新時にかかる費用について、それぞれの徴収する目的や相場を解説します。

更新手数料

更新料はオーナーに支払う費用ですが、更新手数料は不動産会社に支払う手数料です。

更新契約書を作るための事務手数料として支払います。

相場は、家賃の半月分です。

火災保険料

火災保険に加入している方は、賃貸契約の更新に合わせて火災保険も更新しておく必要があります。

火災保険といっても、賃貸の入居者が加入するのは、「火災時の保証のため」だけではありません。

不注意でマンションの共用部の設備を壊してしまった場合などの、オーナーへの保証(借家人賠償責任保険)も含まれています。

火災保険の保険料は、賃貸物件の場合そこまで高額ではなく、相場は年間7,000円〜15,000円ほどです。

保証料

物件によっては、オーナーが家賃保証会社に加入しているケースもあります。

そのような場合、更新時には保証料の支払いも必要です。

保証料の金額は保証会社によって異なりますが、家賃の0.5か月分〜1か月分が相場です。

まとめ

賃貸契約書に更新料の金額が具体的に記載されている場合、入居者には更新料の支払いの義務があります。

更新料を払わないと、強制的に退去させられる可能性もあるため、注意しましょう。

更新料を支払いたくない場合には、オーナーに交渉するという手段もありますが、基本的にうまくいく可能性は低いです。

ただし、更新料なし物件への引っ越しも、デメリットを踏まえて慎重に検討しなければなりません。

更新料なし物件をお探しなら、まずは不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか。

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iimon 編集部

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