賃貸アパートを借りて新生活を始めるには、初期費用を支払う必要があります。
物件によっては、総額50〜80万円程度必要になるケースもあるため、事前に資金計画を入念に立てておきましょう。
この記事では、賃貸アパートの初期費用について詳しく解説します。
初期費用が安い賃貸アパートの注意点も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
初期費用とは?
そもそも初期費用とは、賃貸アパートなどの物件を借りるのに必要な費用のことです。
敷金・礼金・仲介手数料など、賃貸アパートに関する費用や引っ越し費用、家具・家電の購入費用などを総称して「初期費用」といいます。
ここでは、初期費用の詳しい費用について解説します。
1. 賃貸アパートの初期費用
賃貸アパートの初期費用は、物件によって異なります。
一般的に必要な費用と相場をまとめると、以下のようになります。
初期費用の内訳 | 費用相場 |
敷金 | 家賃1〜2か月分 |
礼金 | 家賃1〜2か月分 |
仲介手数料 | 家賃0.5〜1か月分 |
前払い家賃 | 家賃1か月分 |
火災保険料 | 1〜2万円 |
その他の費用 | 家賃0.5〜1か月分 |
合計 | 家賃4〜6か月分 |
賃貸アパートの初期費用は、家賃の4〜6か月分を目安として考えましょう。
たとえば、家賃が6万円のアパートの場合、賃貸アパートの初期費用の相場は24〜36万円です。
なお、賃貸アパートの初期費用は、賃貸借契約を締結する際に支払います。
ここからは、それぞれの費用について解説します。
敷金
敷金とは、賃貸アパートを借りる際に、オーナーに担保として預ける費用のことです。
退去時には、入居者負担の修繕費用が敷金から差し引かれて、残った金額が返ってきます。
敷金は家賃の1〜2か月分が相場です。
賃貸アパートによっては敷金なしの物件もありますが、その場合は退去時に修繕費用を支払う必要があります。
礼金
礼金とは、賃貸アパートを借りる際に、オーナーに謝礼として支払う費用のことです。
礼金ではなく「契約一時金」と表記されるケースもあります。
礼金は敷金とは異なり、退去時に返ってきません。
礼金は、敷金と同じく家賃の1〜2か月分が相場で、礼金の有無は物件によって異なります。
関連記事:賃貸の礼金を払いたくない人必見!払わずに済む方法や交渉のコツを解説
仲介手数料
仲介手数料とは、賃貸アパートを紹介してくれた不動産会社に報酬として支払う費用です。
仲介手数料は、法律(※)で上限が以下のように定められています。
仲介手数料の上限=家賃の1か月分+消費税 |
もし、不動産会社を介さず、直接オーナーと賃貸借契約を結ぶ場合、仲介手数料はかかりません。
なお、不動産会社に支払う仲介手数料は、原則としてオーナーと入居者それぞれが「家賃の0.5か月分+消費税」を支払うと、以下のように定められています。
第三貸借の媒介に関する報酬の額 (前略)居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、 当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の二分の一に相当する金額以内とする。 |
※引用元:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
つまり、オーナーが仲介手数料として家賃の0.5か月分を不動産会社に支払っている場合、不動産会社は入居者に対しては家賃の0.5か月分しか請求できません。
ただし、不動産会社は入居者の同意があれば、家賃1か月分の仲介手数料を入居者のみに全額請求しても問題ありません。
入居者が家賃1か月分の仲介手数料を支払う場合は、賃貸借契約書にこの内容が明記されており、契約前に説明されます。
したがって、仲介手数料の相場は家賃の0.5〜1か月分といえます。
前払い家賃
前払い家賃(前家賃)とは、賃貸借契約時にあらかじめ翌月分の家賃を支払うことです。
一般的に家賃は前払いすることがほとんどで、4月分の家賃は3月に、5月分は4月に支払います。
もし、入居日が月の途中の場合、前家賃とあわせて日割り家賃も支払わなければなりません。
たとえば、賃貸アパートの入居日が3月26日の場合、3月26日〜31日の6日分を日割り家賃、4月分の家賃を前払い家賃として賃貸借契約の際に支払います。
火災保険料
賃貸アパートを借りる際、火災保険に加入するのが一般的です。
火災保険の契約期間は2年が多く、初回に保険金を一括で支払うことが大半です。
火災保険料の相場は、補償内容や家族構成、間取りなどで変動するものの、1〜2万円程度かかります。
その他の費用
賃貸アパートによっては、他にも以下のような費用がかかるケースがあります。
- 鍵の交換代
- 保証会社の保証料
鍵の交換代
鍵の交換代とは、入居時に玄関の鍵とシリンダーを、新しいものに取り替える費用のことです。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、鍵の交換代はオーナーが負担するものとなっています。
しかし、賃貸借契約書の特約で入居者が負担すると明記されている場合は、入居者が支払わなければなりません。
鍵の交換代は、1〜2万円が目安です。
保証会社の保証料
保証会社とは、入居者が家賃を滞納した際に、家賃を一時的に立て替えてオーナーに支払う会社のことです。
入居者の家賃滞納リスクに備えるために、保証会社の利用をオーナーが入居の条件にしている場合があります。
保証会社の保証料は、家賃の0.5〜1か月分を目安に考えましょう。
2. 引っ越し費用
引っ越し費用とは、引っ越し業者を利用して新居に引っ越す際にかかる費用のことです。
一人暮らしの場合、引っ越し費用は4〜8万円程度かかるでしょう。
二人以上の世帯の場合、引っ越し費用は6〜15万円程度かかり、移動距離が長かったり荷物の量が多かったりすれば、20万円前後かかるケースもあります。
なお、2〜4月は新生活に向けて引っ越す人が増えるため、引っ越し費用が高くなります。
引っ越し時期をずらせる場合は、5〜1月に引っ越すことで、引っ越し費用を抑えることが可能です。
3. 家具・家電の購入費用
新居で使う家具・家電を購入する必要がある場合、それらの費用を準備しておきましょう。
初めて一人暮らしをする際は、以下のような家具・家電を購入する必要があります。
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- エアコン
- 照明器具
- テレビ
- ベッド
- テーブル
- カーテン
家具・家電の購入費用は、商品のグレードによって異なるものの、20〜30万円程度を想定しておきましょう。
初期費用が安い賃貸アパートの注意点
賃貸アパートによっては、敷金や礼金、仲介手数料が不要な物件も存在します。
しかし、初期費用が安い賃貸アパートは、以下の点に注意しましょう。
- 家賃が相場よりも高い可能性がある
- 賃貸アパートの条件が悪い場合がある
- 周辺環境に問題がないか確認する
それぞれ詳しく解説します。
家賃が相場よりも高い可能性がある
初期費用が安くても、家賃が相場よりも高いと結果的に支払いが増える可能性があります。
たとえば、以下のケースを比較してみましょう。
ケースA:家賃6万円・礼金1か月分・仲介手数料1か月分 ケースB:家賃7万円・礼金なし・仲介手数料なし |
これらのケースを比較すると、2年後の総支出は以下のようになります。
ケースA:家賃6万円×24か月+礼金6万円+仲介手数料6万円=合計156万円 ケースB:家賃7万円×24か月+礼金0円+仲介手数料0円=合計168万円 |
初期費用が安いケースBのほうが、2年後には礼金・仲介手数料ありのケースAよりも総支出が12万円多いことがわかります。
初期費用が安いからとすぐに契約せず、家賃が相場よりも高くないかなどを確認したうえで判断しましょう。
賃貸アパートの条件が悪い場合がある
初期費用が安い賃貸アパートは、立地が悪かったり築年数が経過していたりなど、不人気で条件が悪い可能性があります。
賃貸アパートの条件が悪いと、集客に時間がかかる傾向があるため、オーナーが初期費用を抑えて入居しやすくしているケースがあります。
初期費用が安い賃貸アパートは入居前に内見を行い、物件状況を確認してから決めるようにしましょう。
周辺環境に問題がないか確認する
初期費用が安い賃貸アパートは、物件の条件以外にも以下のように周辺環境が悪い可能性も考えられます。
- 交通の便が悪い
- 線路や高速道路が近くにある
- 墓地や下水処理場などの嫌悪施設が近くにある
内見の際は、物件の状況だけでなく周辺環境も入念に確認するようにしましょう。
まとめ
賃貸アパートを借りるのに必要な初期費用をまとめると、以下のようになります。
初期費用の内訳 | 相場 |
賃貸アパートの初期費用 | 家賃の4〜6か月分 |
引っ越し費用(一人暮らしの場合) | 4〜8万円 |
家具・家電の購入費用 | 20〜30万円 |
賃貸アパートの家賃が6万円の場合、初期費用は総額48〜74万円かかる計算になります。
敷金や礼金など、賃貸アパートの初期費用は家賃を基に算出されるケースが多いため、家賃が安い賃貸アパートを選ぶと初期費用を抑えやすくなります。
ただし、初期費用が安い賃貸アパートは、物件や周辺環境の条件が悪い可能性があるため、内見の際は入念に確認しましょう。
賃貸アパートに必要な初期費用や注意点を理解しておき、自分に合う物件を見つけましょう。
iimon 編集部