賃貸物件に住んでいると、契約更新で更新料を請求されるケースが一般的です。
忘れたころに更新料の請求書が届き、「高すぎる」と感じる人も多いのではないでしょうか?
しかし、賃貸借契約書に更新料の記載があれば、原則として入居者は支払う必要があります。
なお、契約更新では更新料以外にも支払う費用があり、誤って支払わずにいると強制退去を命じられるリスクもあるため、理解を深めておきましょう。
この記事では、賃貸物件の更新料について詳しく解説します。
更新料が高すぎると感じた際の対処法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【基礎知識】更新料について
更新料とは、賃貸借契約を更新する際にオーナーへ支払う費用のことです。
契約期間は一般的に2年間で、契約更新する場合に支払う必要があります。
更新料を支払うことで契約期間が更新され、引き続き同じ賃貸物件に住み続けられます。
もし、更新料が高すぎると感じた場合でも、賃貸借契約書に記載があり、法外な金額でなければ入居者は支払わなければなりません。
更新料の相場
国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、更新料の有無を三大都市圏のエリアごとに調査したところ、以下のような結果となりました。
エリア | 更新料あり | 更新料なし |
首都圏 | 65.1% | 21.6% |
中京圏 | 22.8% | 54.3% |
近畿圏 | 25.5% | 55.7% |
三大都市圏 平均 | 48.2% | 35.6% |
首都圏では更新料ありが約65%と多く、中京圏や近畿圏では更新料なしが約55%と多いことがわかります。
なお、同調査で「更新料あり」と回答した世帯に、家賃の何か月分支払ったのかを調査したところ、三大都市圏の平均は以下のようになりました。
支払った家賃の月数 | 割合 |
1か月未満 | 22.5% |
1か月分 | 66.4% |
1か月超〜2か月未満 | 3.0% |
2か月分 | 5.2% |
2か月超〜 | 2.9% |
更新料として家賃1か月分支払った世帯が最多であり、次に家賃1か月未満支払った世帯が多いことがわかります。
この調査から、更新料の相場は家賃1か月分といえます。
賃貸の更新料についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
関連記事:賃貸の更新料とは?必要な理由や高いと感じた場合の対処法をわかりやすく解説
更新料以外に支払う費用
賃貸借契約の更新時には、更新料以外にも以下の費用が必要になる場合があります。
- 更新事務手数料
- 火災保険料
- 家賃保証会社の更新料
それぞれ詳しく見ていきましょう。
更新事務手数料
更新事務手数料とは、契約更新に関する事務処理の費用として、不動産会社に支払う手数料のことです。
書類作成や手続きにかかる費用として、1万円前後を請求されるケースが多いです。
不動産会社によっては家賃0.25〜0.5か月分を請求されるケースもあるため、賃貸借契約書の記載内容を確認しましょう。
もし、賃貸借契約書に更新事務手数料の記載がなければ、支払う法的根拠はないため交渉できます。
交渉しても折り合いがつかなければ、消費生活センターや弁護士などに相談するのも1つの方法です。
火災保険料
火災保険に加入していれば、更新時に火災保険も更新する必要があります。
火災保険料は、賃貸物件の面積や補償内容によって変動するものの、一般的に1〜2万円程度かかります。
家賃保証会社の保証料
家賃保証会社を利用していれば、更新時に保証料や更新手数料がかかるケースが多いです。
家賃保証会社(賃貸保証会社)とは、入居者が家賃を滞納した際に、家賃を立て替えてオーナーに支払う会社のことです。
家賃保証会社の保証料(更新手数料)は、一般的には1〜2万円程度かかります。
更新料を支払わないとどうなる?
更新料の支払いを拒否すると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
- 強制退去を求められる
- 延滞料が発生する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
強制退去のリスクがある
更新料の支払いを拒否すると、オーナーから強制退去を求められる可能性があります。
賃貸借契約書に更新料の記載があり、入居者が承諾している場合、更新料は正当な費用として認められます。
そのため、更新料の支払いを拒否すると、契約違反とみなされてしまい、オーナーから強制退去を命じられるリスクが高くなるでしょう。
強制退去を命じられると、新たな賃貸物件を探す手間や引っ越し費用などがかかります。
賃貸借契約書に更新料の記載があり、住み続ける意向であれば、更新料を忘れずに支払いましょう。
延滞料が発生する
更新料の支払いが遅れると、延滞料が発生する場合があります。
延滞料は、基本的に賃貸借契約書に明記されており、年利14.6%が上限です。
支払いが遅れるほど延滞料が高額になるため、早めに支払いましょう。
もし、支払いが困難な場合は、支払期限までにオーナーや不動産会社に相談してみることをおすすめします。
賃貸物件の更新料が高すぎると感じた際の対処法
賃貸物件の更新料が高すぎると感じた場合は、以下のような対処法があります。
- 賃貸借契約書を確認する
- 値下げ交渉する
- 更新せずに引っ越す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
賃貸借契約書を確認する
更新料について疑問を感じた場合は、まずは賃貸借契約書の内容を確認しましょう。
賃貸借契約書には、更新料の金額や支払期限などが明記されています。
もし、賃貸借契約書に更新料の記載がなければ、支払う法的根拠がないため拒否できます。
更新料が高すぎると感じた場合は、賃貸借契約書を確認して更新料の記載があるかを確認しましょう。
値下げ交渉する
更新料が高すぎると感じた場合は、オーナーや不動産会社に値下げ交渉する方法もあります。
ただし、値下げ交渉に応じるかどうかはオーナー次第です。
賃貸借契約書に更新料の記載があれば、原則として入居者は支払わなければなりません。
そのため、強引な交渉は避け、これまでの入居状況や今後も継続して住む意思があるなどを丁寧に伝えて、交渉してみましょう。
更新せずに引っ越す
更新料の支払いが難しい場合は、契約を更新せずに引っ越す選択肢もあります。
契約を更新せずに引っ越す場合は、オーナーや管理会社に解約通知書の提出が必要です。
解約予告期間が1か月である場合、解約通知書は退去予定日の1か月以上前に提出する必要があります。
契約更新日までに退去できれば、更新料を支払わずに済みます。
なお、引っ越し先でも同じようなことが起きないように、更新料の有無や金額を事前に確認しておきましょう。
更新料や敷金・礼金がない物件、家賃が安い物件を選ぶことで、今の物件を契約更新して住み続けるよりも、お得になる可能性があるでしょう。
まとめ
賃貸物件の契約期間を更新するには、基本的に更新料が発生します。
更新料は家賃1か月分が目安となり、他にも以下のような費用がかかる場合があります。
- 更新事務手数料
- 火災保険料
- 家賃保証会社の更新料
更新料が高すぎると感じた場合でも、賃貸借契約書に記載があり、法外な金額でなければ入居者は支払わなければなりません。
更新料の支払いを拒否すると、強制退去や延滞料が発生するリスクがあります。
更新料が高すぎると感じた場合は、賃貸借契約書の確認や、値下げ交渉を検討しましょう。
更新料の支払いが困難な場合は、更新せずに引っ越す方法もあります。
ただし、解約予告期間が設けられているため、早めに解約通知書をオーナーや管理会社に提出する必要があります。
更新料が高すぎると後悔しないようにするには、賃貸借契約を結ぶ前に更新料の有無や金額を確認しておきましょう。
iimon 編集部